天寿全うしたヤマニンゼファーの馬生…2人の名手の原点となった名馬

[ 2017年5月16日 16:35 ]

<第108回天皇賞・秋>田中勝春騎手のセキテイリュウオーと柴田善臣騎手のヤマニンゼファーの息詰まる叩き合い。ゴール手前20メートルで田中勝春騎手はステッキを落とした
Photo By スポニチ

 92、93年の安田記念、93年の天皇賞・秋を制し、93年最優秀5歳(現4歳)以上牡馬、 最優秀短距離馬および最優秀父内国産馬に選ばれたヤマニンゼファーが16日朝、老衰のため死んだ。29歳だった。

 92年の安田記念は11番人気の低評価を覆して直線力強く抜け出して優勝。2着カミノクレッセの追い込みを3/4馬身しのいでの勝利に鞍上の田中勝春はゴールの瞬間に大きくガッツポーズをみせた。これがデビュー4年目だった田中勝にとって初めてのG1制覇だった。その後は現在に至るまで1700勝以上を挙げるなどトップジョッキーの一員として活躍をみせている。

 翌年の安田記念は柴田善臣とコンビを組んだ。田中勝が所属厩舎のセキテイリュウオー(同日の新潟大賞典に出走)に騎乗するため回ってきたチャンスを柴田善がきっちりとものにする。2番手から抜け出す横綱競馬で2着イクノディクタスらを寄せつけず完勝。これが柴田善にとってのG1初勝利。柴田善もまた16年3月に史上5人目となるJRA2200勝を挙げるなど屈指の名手として名をはせている。

 3つ目のG1制覇となった93年の天皇賞・秋でも柴田善が騎乗。息詰まる叩き合いを制し鼻差で勝利したが、大接戦を演じ2着となったのが田中勝が騎乗していたセキテイリュウオーだった。田中勝はのちのインタビューでもっとも悔しい敗戦にこのレースを挙げている。

 2人の名手に初めてのG1勝利をプレゼントしたヤマニンゼファー。余生を送った錦岡牧場の引木晶則氏が「最近は落ち着いて前日まで変わった様子もなく、突然のことで驚いています」と語ったように、「そよ風、と呼ぶには強烈すぎた」と評された現役時代と打って変わって静かに息を引き取ったようだ。

 栗田博憲厩舎の後輩であるイスラボニータが安田記念(6月4日)に出走する予定となっている。

続きを表示

2017年5月16日のニュース