【ヴィクトリアM】重賞未勝利馬が女王に!アドマイヤリードがV

[ 2017年5月15日 05:30 ]

<東京11R・ヴィクトリアM>スタンドに向かってガッツポーズするルメール
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 春の最強女王決定戦「第12回ヴィクトリアマイル」が14日、東京競馬場で行われた。後方イン追走の6番人気アドマイヤリードが馬群を縫って突き抜けて、G1初制覇。重賞未勝利馬の優勝はレース史上初。1RでJRA通算600勝を達成した鞍上クリストフ・ルメール(37=フランス)は昨年の有馬記念(サトノダイヤモンド)以来のG1・11勝目。G1・3勝目に挑んだ1番人気ミッキークイーンは伸びを欠き7着に敗れた。

 どよめきと歓声が入り乱れた直線。馬場の真ん中をズバッと抜けたのはアドマイヤリードだった。重賞未勝利馬のヴィクトリアマイル制覇は史上初の快挙だ。

 表彰台のルメールは会心の笑顔。「ごっつあんです!!いっぱい、自信があった。湿った馬場(やや重)は上手。凄い瞬発力があるけどトップスピードの距離が短い。だから追いだしを残り200メートルまで我慢したんだ」

 1RでJRA600勝を達成をした勢いそのまま。ルメール魔術がサク裂した。道中は後方からガラ空きのインをスイスイ進出。残り1Fでスマートレイアーとソルヴェイグの1頭分のスペースを見つけるや、迷わず一瞬で突き抜けた。鞍上は「(2頭の間は)一瞬狭くなったけど、抜けてからいけると…。今日は重くて難しい馬場状態。リズムが大事と思って進めた」と喜びに浸った。

 管理する須貝師は15年天皇賞・春(ゴールドシップ)以来JRA・G1・11勝目。「めちゃくちゃ声が出た。でも、こういう展開なら“勝つ”とイメージしていた。根性があるからね」。最軽量の422キロでも、心臓の強さは傑出。さらに指揮官は2人の“恩人”の思いを口にした。「(定年の昨年2月末まで管理した)松田博資調教師にお礼を申し上げたい。お世話になった近藤(利一氏)会長の馬で勝ててうれしい。これだけの馬を引き継がせていただき、感謝しています」と感無量だ。

 転厩初戦の昨年3月チューリップ賞は最下位16着。3歳春は馬体減に苦慮した愛馬を1年余でG1馬へと育て上げた。須貝師は「精神的に難しい面がある馬。松田先生と調教のやり方も違うので…。実が入ったと思う」と目を細めた。昨年10月以降、前走・阪神牝馬S(2着)まで5戦2勝、2着3回と充実。この日は4キロ減(422キロ)。同師は「410キロ台前半も覚悟した。想定よりも減らなかったのも良かった」と輸送に耐えた愛馬の好走を確信していた。

 須貝厩舎を支えた名馬ゴールドシップと同じステイゴールド産駒の、コンパクトボディーには大きな夢が詰まっている。今後はノーザンファームしがらきへ。ひと足早い夏休みの予定。指揮官は「(同舞台の)安田記念は間隔も詰まるので厳しい。“女の子の路線”になると思う。クイーンS(7月30日、札幌)あたりを視野に」と、さらなる進撃を見据えていた。

 ◆アドマイヤリード 父ステイゴールド 母ベルアリュール2(母の父ニューメラス)牝4歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・近藤利一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績14戦5勝 総獲得賞金1億9125万2000円。

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