【G1温故知新】2006年ヴィクトリアM10着 マイネサマンサ

[ 2017年5月10日 06:30 ]

04年の川崎記念をレコード勝ちしたエスプリシーズにまたがる森下博。当時すでに48歳を迎えていた
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 G1の過去の勝ち馬や惜しくも力及ばなかった馬、記録以上に記憶に残る馬たちを回顧し、今年のレースの注目馬や見どころを探る「G1温故知新」。第19回は2006年のヴィクトリアマイルにてマイネサマンサに騎乗するも10着に終わった川崎競馬所属の森下博騎手と、その同期である的場文男騎手の軌跡を振り返る。

 大井・的場文男の地方通算7000勝達成が間近に迫っている。すでに還暦を迎えた大ベテランながら日常的に騎乗しているのがまず凄い。船橋の石崎隆之と南関東リーディングを競っていた時代は過去のものとなったが、今の的場には騎乗姿だけで見る者を満足させてしまうほどの存在感がある。

 “レジェンド”的場は今年9月で61歳になるが、つい先日62歳を迎えた現役ジョッキーがいる。地方競馬の最高齢騎手として今も川崎競馬場に身を置く森下博。的場とは同期の1973年デビューで、通算勝利数は2600以上。現在では月に数鞍騎乗する程度だが、かつて「逃げの森下」の異名をとったベテランは健在。すでに今年3勝を挙げている(5月9日現在)。

 そんな森下が中央競馬のG1レースに騎乗したことが1度だけある。2006年の第1回ヴィクトリアM、騎乗馬はマイネサマンサである。前走で岩田康誠が騎乗して重賞制覇を果たしていた彼女だが、岩田がディアデラノビアに騎乗するため鞍上が空いていた。そこで同日に東京競馬場で騎乗する森下に出番が巡ってきたというわけだ。逃げ&先行策で結果を残してきた彼女はピッタリのパートナーと呼べた。レースではケレン味のない逃げを披露するも、結果は10着。桜花賞馬ダンスインザムードの後塵を拝した。同年以降、森下が中央競馬に参戦する機会は訪れていない。

 笠松の安藤勝己が切り開き、園田の岩田康誠や小牧太、大井の内田博幸に戸崎圭太らが続いた中央騎手への道。彼らが輝かしい実績を残した一方、大井にこだわり続ける男もいる。中央競馬には目もくれず、南関東で勝ち星を積み上げた的場。以前、あるインタビューで彼は「“大井競馬に的場あり”と言われたい」と答えている。中央に腕1本ムチ1本で挑む選択肢もあったはず。だが、的場は迷うことなく大井競馬場に骨を埋める道を選んだ。

 今度のヴィクトリアMでは元・地方騎手の戸崎圭太と岩田康誠が騎乗予定だ。森下と同じ南関東出身なのは戸崎だが、ここはかつて森下もまたがったマイネサマンサに騎乗歴のある岩田を応援したい。岩田の騎乗馬はレッツゴードンキ。府中千六で施行されるヴィクトリアMは、現5歳の桜花賞馬の完全復活に似合いの舞台のはずだ。

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