【天皇賞・春】ブラック連覇!10月の凱旋門賞挑戦へ大きく前進

[ 2017年5月1日 05:30 ]

日本レコードで天皇賞・春を連覇したキタサンブラックと武豊
Photo By 代表撮影

 ブラック、圧巻の日本レコード大賞だ!!古馬最高峰の「第155回天皇賞・春」が4月30日、京都競馬場で行われた。2番手を進んだ1番人気キタサンブラックが、06年ディープインパクトの記録を0秒9更新する3分12秒5の日本レコードで史上4頭目の天皇賞・春連覇、そしてG1・5勝目を飾った。鞍上の武豊は、JRA同一G1史上最多の8勝目。オーナーの北島三郎(80)は「フランス語を勉強しようかな」と語り、世界最高峰の凱旋門賞(10月1日、仏シャンティイ)の挑戦に、大きく前進した。

 人馬一体で全てを出し切った3分12秒5の盾獲りドラマは最高の結末を迎えた。快晴の京都のスタンドを埋め尽くす7万7000大観衆の声援を受けてキタサンブラックが先頭で最後の直線を迎える。ラスト1F、武豊がパートナーを鼓舞すると余力を振り絞り、ひたむきにゴールを目指す。後方で食らいつくシュヴァルグラン、サトノダイヤモンドと馬体を併せるシーンは最後までなく、史上4頭目(91&92年メジロマックイーン、00&01年テイエムオペラオー、13&14年フェノーメノ)の連覇を成し遂げた。

 表彰式では武豊、オーナーの北島三郎、そして清水久師がガッチリと握手。大観衆も紅白歌合戦の“大トリ”のごとく、一体となって拍手を送った。北島は何度もスタンドのファンに両手を振って声援に応え、何度も両手を合わせて拝むような姿で感謝の気持ちを表した。そして、喜びをかみしめて会見場へ。

 「名ジョッキーの武さんが乗ってくれるのなら…。夏までの状態を見て、いい状態だったら(フランスへ)行ってみたい。今日からフランス語を勉強しようかと思います」。冗舌に、しかしその顔は本気だった。世界最高峰の凱旋門賞へ、大きく力強くゴーサインが出たのだ。

 「大勢の方の応援のおかげで2年連続の勝利。感謝しています。涙が出ました。レコード(タイム)出ましたね。レコードを出すのが私の仕事なんですが…」と愛馬の快走を本業の「歌手」とかけて笑いまで誘った。

 昨年9月に手術した頸椎(けいつい)症性脊髄症は「簡単に治ってくるものではありませんが、だんだん良くなってきてます」と足取りはかなりしっかりしてきた様子。「今日の勝利でまた、何とかね」と帰りの車までご機嫌だった。

 数々の名馬が先頭で駆け抜けた伝統の一戦の歴史を塗り替えた。日本レコードの3分12秒5。清水久師も感無量だった。

 「一体どこまで強くなるのか。僕自身も分からないんです」。凱旋門賞に登録するかは、天皇賞の結果次第だった。最高の結末でオーナーのお墨付きをもらった。指揮官は「オーナーもそうおっしゃっているし、週明けに登録する方向です」と明言。さらに「まずは宝塚記念(6月25日、阪神)ですね」と眼前の大目標で、さらなる進撃を誓った。人智を超え、神の領域に突入しようとしているブラックの競走生活。世界のホースマンに荘厳な「まつり」を発信する瞬間が、刻一刻と迫っている。

 ◆キタサンブラック 父ブラックタイド 母シュガーハート(母の父サクラバクシンオー)牡5歳 栗東・清水久厩舎所属 馬主・大野商事 生産者・北海道日高町ヤナガワ牧場 戦績16戦10勝 総獲得賞金13億4413万9000円。

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