【桜花賞】横山典“大器”アエロリットと14度目の正直

[ 2017年4月6日 05:30 ]

<桜花賞>坂路で追い切るアエロリット
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 【G1ドキュメント=5日】話は前日の火曜。厩舎回りをしていた高木は、真剣な表情でアエロリットの乗り運動をこなす横山典の姿を発見した。乗り運動は地道な作業。普通は厩舎スタッフや若手騎手がこなし、ベテラン騎手がつけているのはかなりレアだ。その光景に思わず目を奪われた。水曜朝、高木はすぐに典さんの元へ。デビューからずっと手綱を取る愛馬の話を聞きに行った。

 まずは前日の光景について質問。背中から伝わった感触を聞きたかったが、「それは別に特別なことじゃない」と一蹴される。めげそうになる心。それでも次に聞けた「これはいい馬だよ。走る馬。俺がいい馬って言えばそれでいいじゃない」の言葉からは器の大きさが伝わる。デビュー4戦を全て連対。アドマイヤミヤビの0秒1差に食らい付いた前走・クイーンCも本物のようだ。「何より調教師の顔を見てれば、順調なのが伝わってくるでしょ」

 その菊沢師が騎乗した最終追い。前に僚馬を置く形で坂路を上り、馬体は最後まで併せなかった。派手さこそないが、素軽い脚さばきから伝わる好調ぶり。追い切り後、報道陣に囲まれた師の表情は典さんの言う通り明るかった。「凄いパフォーマンスじゃなかったけど現時点では十分。今日は上がってきてもケロッとしていた。最初の不器用な感じがなくなってきたね」と笑顔で振り返った。

 ストーカーのごとく再度、典さんにへばりつく。「先生、いい顔してました」と伝えるとニヤリ。「追い切りでもずいぶん素軽い、しっかりした走りをするようになったね。それと競馬がピタッとはまれば大きい仕事をしてくれるんじゃないか」と、うなずいていた。名手と称えられるベテランだが、実はクラシックで桜花賞だけは手にしていない。夢を見られる才能と挑む14回目の桜の舞台。ソウルスターリングの敵は意外と身近にいるような気がしてきた。

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2017年4月6日のニュース