【KEIRINグランプリ】村上が切り開く“魂のVロード”

[ 2016年12月29日 05:30 ]

健闘を誓う村上(右)と稲垣の京都コンビ
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 目前のグランプリ。7年連続10回目の出場。42歳を迎えても魂は衰えない村上義弘に注目した。

 “魂のレーサー”村上は今年もファンの心を揺さぶる熱い走りを見せてきた。選手生活23年目。ベテランの域に突入した近畿のカリスマは、昨年と同じく稲垣目標から2度目の頂点を目指す。

 GPは7年連続10回目。出場回数は一時代を築いた滝沢正光、小橋正義、吉岡稔真と肩を並べた。21日の前夜祭では「競輪界の素晴らしい先輩たちの背中を追って頑張ってきた。名前が並ぶのは光栄です」。重みを感じて言葉をかみ締めた。「日々がむしゃらにやってきたら10回目のGP。がむしゃらに優勝を目指したい」。一点を見つめて静かに闘志を燃やした。

 「3つも4つも年を取ったような一年」と今年を振り返る。42歳。肉体的ピークは過ぎ、不屈の精神が村上を支える。それでも“魂の走り”は色あせない。先行日本一の看板を背負いバンクを駆け抜けた時代とは違う、新たな輝きを放ち始めている。

 6回目のG1優勝を飾った3月名古屋ダービー。近畿勢は三谷竜生―川村晃司―村上で2段ロケット。村上は1コーナーで竹内雄作をけん制、2センターでは新田祐大をブロック一発で止め、さらに内を突いてきた岩津を押し込んだ。前を必死にかばう大仕事をこなしてからのV差しは、競輪のだいご味が凝縮されていた。ファンをいつまでも引きつける千両役者が今年一番輝いた瞬間だった。

 だが、その後の優勝は4月高知記念の1回だけ。1億円バトルへ向けて村上は「ストレスがたまっている。最後に爆発させたい」と短い言葉に気合を込めた。

 大雨の中で行われた12年のGPは直前練習で肋骨を骨折、下馬評を覆して単騎で栄光をつかんだ。ここ一番の勝負強さと集中力は誰にも負けない。G1王者としてたくましく成長した稲垣の背中を追いかけ、Vロードを切り開く。

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