【立川・ガールズGP】人気&実力首位!遣唐使パワーだ高木真備

[ 2016年12月28日 05:30 ]

リクエストに応えて「恋ダンス」のポーズをとる高木真備。周りから「かわいいー」の声が飛ぶ
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 「ガールズグランプリ2016」(優勝賞金1000万円=副賞含む)が28日、立川競輪場の11Rで争われる。トップ選手7人が一発勝負でクイーンの座を目指す。注目の的は今年のファン投票で1位に輝き、アイドル的な人気を誇る高木真備(まきび、22=東京)。名前の由来は遣唐使として歴史に名を残した吉備真備。人気と実力を兼ね備えたニューヒロインが、5年目を迎えたガールズケイリンに新たな歴史を刻み込む。

 可愛いだけじゃないんです!高木は今年の取得賞金、優勝回数、勝ち星全てメンバートップ。愛らしいルックスに確かな実力が評価されファン投票も1位。才色兼備な伸び盛りの22歳はガールズケイリンの「顔」として活躍する人気レーサーだ。

 特徴的な「真備」という珍しい名前。そのルーツは約1300年前にさかのぼる。奈良時代の国家計画として唐へ派遣された遣唐使。その一人が学者の吉備真備だった。東シナ海の荒波を乗り越え命懸けの旅路。無事、唐の文化や学問を日本へと持ち帰り、英雄として歴史に名を残した。

 時を超えて平成に生まれた「真備」は父・善弘さんの転勤先だった岡山県真備町(まびちょう、現倉敷市)で産声を上げた。両親は「縁があって岡山で生まれた。少しでも人の役に立つような人になってもらいたい」との思いを込め、郷土の偉人から真備と命名した。

 「名前が誰ともかぶらない。まだ同じ名前の人に出会ったことがない。覚えてもらいやすいし自分の名前が大好き」と高木は言う。

 高校までハンドボールに打ち込んだ。大学進学を考えていた時、ガールズケイリンを知った母・三重さんの猛プッシュで挑戦を決意。だが、待っていたのは思うように勝てない日々。初優勝まで3カ月かかった。

 根っからの負けず嫌いは心に誓った。先行で日本一を目指す。「一度決めたことは揺るがない性格なんです」。競輪選手を志してから「25歳までに賞金女王になる」と目標を立てた。脚力をつけるために逃げて、逃げて、逃げまくった。レースを走り終わると酸欠状態で何度も倒れ込んだ。それを見てあざ笑う選手もいた。だが、めげなかった。「何度もバカにされて…。本当に苦しくて倒れていたのに。だから、絶対に見返そうと思ったんです。先行して強くなってやろうと」。愛らしい笑顔の裏に隠された反発心と負けじ魂。アマチュア自転車歴のない高木は、まだ誰も上ったことがない“自転車未経験からのニューヒロイン”への階段を上り始めた。

 いちずに打ち込んだ成果が今年に入って実を結び始めた。「ペース配分を覚えて周りが見えるようになった」。逃げた先にある勝利を手繰り寄せられるまでにパワーアップ。昨年22勝から約3倍の65勝と大きく飛躍した。抜群のスピードと持久力を身につけ、大一番に初めて挑む。

 「自転車は好きだけど、それ以上に7人で競い合うのが好き。勝負事が好きなんです。だから負けたくない。結果を恐れず力を出し切りたい」

 今は先行しても倒れない。強じんな足腰とハートの強さはメンバー随一。吉備真備は日本史に名を残した。高木真備はガールズケイリンの歴史に足跡を残す。

 ◆高木 真備(たかぎ・まきび)1994年(平6)8月17日、岡山県真備町(現倉敷市)生まれ、東京都町田市出身の22歳。文化学園大杉並高卒。好きな食べ物は牛タン、刺し身。座右の銘は「井戸を掘るなら水が出るまで」。通算成績は225戦99勝。通算取得賞金は2599万円。1メートル61、65キロ。血液型A。

 ▽ガールズケイリン 昭和初期に女子だけの競輪が実施されていたが、強い選手に勝ち星が集中するなどギャンブルとしての魅力が薄れ、人気が低下して64年廃止。その後、五輪につながるなどの理由から機運が高まり、12年7月1日にガールズケイリンとして復活。7車立てで行われ、自転車競技の国際ルールに準拠。競りやブロックなど“ヨコ”の動きは禁止。直線で空いた中のコースに割って入ることも失格の対象となる。レースは風よけとなる先頭員(誘導)が半周前から助走を開始。スタートライン到達時に号砲が鳴って発走する。選手は先頭員が規定の区間(400バンクは残り1周半のバック線、打鐘開始位置)で退避するまでは並んだり、追い抜いてはいけない。打鐘後は7人のスプリント勝負となる。

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