【有馬記念】五輪イヤーの記憶(1)1984年第29回有馬記念

[ 2016年12月19日 05:30 ]

84年の有馬記念を制したシンボリルドルフと鞍上の岡部幸雄騎手
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 リオ五輪に沸いた今夏。夏季五輪の年の有馬記念は過去どんなレースがあったのか?「五輪イヤーの記憶」で7回分を振り返る。まずは84年ロサンゼルス五輪の年に行われた第29回有馬記念。シンボリルドルフ、ミスターシービーの3冠馬対決で新時代が幕を開けた。

 3月に終了した朝の連続テレビ小説「おしん」が爆発的人気を呼び、新札発行やグリコ森永事件が起きた84年。競馬界も転換期を迎えた。前年83年にミスターシービーが史上3頭目の3冠馬に輝いたのに続き、シンボリルドルフが日本の競馬史上初めて無敗の3冠制覇の偉業を成し遂げた。

 両雄は有馬記念前のジャパンCで「史上初の3冠馬対決」で激突。結果は大逃げを打った10番人気カツラギエースが押し切り、日本馬初のジャパンC制覇。対照的にルドルフは3着で初黒星、シービーは末脚不発で10着に敗れていた。

 迎えた有馬記念はルドルフは単勝170円の断然人気。カツラギは有馬で引退が発表されていた。ここで負ければ永遠に倒す機会はない。「カツラギエースだけには負けられない」がルドルフ陣営の総意。ジャパンC同様に逃げるカツラギを大名マークして、2周目向正面で早々と2番手に押し上げた。直線坂上で鞍上岡部がゴーサインを送ると、楽々とカツラギを抜き去る。馬群からシービーも出てきたが、時すでに遅く3着まで。着順掲示板には2分32秒8の走破時計とともに「レコード」の鮮やかな文字。皇帝が国内最強の地位を不動にした瞬間だった。

 ◆80年モスクワ五輪を不参加の日本は8年ぶりの夏季五輪。金10個、銀8個、銅14個とメダルを量産した。体操の具志堅幸司が個人総合、つり輪の2種目で金メダル。お家芸の柔道は金4個。無差別級で涙の優勝を飾った山下泰裕は84年10月、国民栄誉賞を受賞した。

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2016年12月19日のニュース