【阪神JF】ソウルスターリング100点!しなやかで深いトモにゾッコン

[ 2016年12月7日 05:30 ]

走る才に満ちた各パーツが調和したソウルスターリング
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 “才”にあふれた2歳女王候補だ。鈴木康弘元調教師(72)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第68回阪神JF(11日、阪神)ではデビュー2連勝中のソウルスターリングを満点採点した。父フランケル、母スタセリタの欧米G1タイトルは合わせて16。達眼が捉えた世界的良血馬の姿とは…。

 その年の世相を漢字一字で表す「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会主催)が12日、京都の清水寺で発表されます。消費税が17年ぶりに増税された一昨年は「税」、安保関連法で揺れた昨年は「安」。リオ五輪のメダルラッシュに沸いた今年は「金」か、あるいは、広島カープの「赤」か。熊本地震、SMAP解散、トランプ氏の米大統領選勝利、英国のEU離脱などから「揺」や「驚」を予測する向きもあります。

 ソウルスターリングを漢字1文字で表すなら「才」。生まれつき持っている才能、才気の意味です。その姿に触れただけで飛びっ切りの才が目に飛び込んできます。特筆すべきは、しなやかで深いトモ(後肢)。昨年の阪神JFを制したメジャーエンブレムは岩のように隆起したトモを持っていましたが、こちらは弾力のある極上の筋肉を付けています。トモのパワーを受ける飛節は頑丈な上に絶妙な角度。前肢に目を向けると肩から膝、つなぎまで素晴らしい傾斜です。適度なアバラの量、狂いのない管と腱、奇麗な蹄。ジグソーパズルになぞらえれば、走る才に満ちた各パーツが見事に調和した馬体です。

 立ち方にも才があふれています。ハミを柔らかくかみ、四肢に均等の負重をかけながら大地をつかんでいます。厩務員さんに前方から促されるまでもなく、何をされるのか分かっているのでしょう。目、耳、鼻の穴をカメラマンに向けて、2歳牝馬らしからぬ落ち着き払った立ち姿。気性も優れているのでしょう。とてもよく手入れされたタテガミと尾。その美しい身だしなみから扱う人の愛情も伝わってきます。

 一点だけ注文を付けるなら…。膨らみの小さいキ甲(首と背の間の突起部分)。成長途上です。未発達なキ甲は3歳になってからたくましく抜けていくのでしょう。つぼみが膨らんで開花するように…。

 父フランケル、母スタセリタのG1タイトル数は合わせて16を数えるそうです。その血統を体現するようにつぼみの段階でも才にあふれた2歳牝馬。将来はどんな名牝に成長するのか。来年の師走にはその姿を「超」や「傑」の一文字で表しているかもしれません。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの72歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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