【ジャパンC】キタサンブラック 史上初の1番人気逃走V!次走は有馬へ

[ 2016年11月28日 05:30 ]

<第36回ジャパンカップ>レースを制しガッツポーズするキタサンブラック騎乗の武豊(中央)
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 27日に東京競馬場で行われた「第36回ジャパンC」は、キタサンブラックが史上3頭目の逃げ切りV。2着サウンズオブアースに2馬身半差をつける完勝劇で、1番人気での逃げ切りは史上初の快挙となった。これで年末の有馬記念(12月25日、中山)次第では、年度代表馬の座も十分。“日本のエース”が世界中に存在感を見せつけた。

 8万8000を超えるファンの大歓声が飛ぶ残り400メートル。最後の攻防を見つめる全ての人が、キタサンブラックの勝利を確信した。「余裕を持って、自信を持って追いだそうと思った」(武豊)。3歳の春に見た悪夢を振り払うかのように、ブラックは最後まで伸び続けた。

 自身3戦負けなしの1番枠からスタートを決めるとスムーズにハナへ。直後の隊列もすんなりと決まる。「道中は波のないペースを心掛けた。今日の馬場なら(5Fを)61秒台で入りたかった」と武豊。攻めあぐねる好位勢を尻目に、絶妙なラップを刻んだ。5F通過は61秒7と理想通り。迎えた直線は、少しだけ右へ寄る。荒れた内を避け、外に出す距離ロスも関係なしに最小のVロードを猛進。残り400メートルまで馬なりの時点で勝負あり。2着との2馬身半差以上に、人馬が完璧にレースを支配した。

 レース後の武豊は「今までのレースでも今日が一番強かった。ギリギリ、極限の状態に厩舎が仕上げてくれていました」とその強さに脱帽。清水久師も「こっちのメニューをしっかりこなしてくれて、これ以上ないと自信を持って送り出せた。直線もブラックなら大丈夫だろうと見ていた」と笑顔がはじけた。

 14着に敗れた15年ダービー以来の東京2400メートル。舞台を不安視する声は多かった。師は「その質問は本当によく聞かれた」と苦笑いを浮かべたが、陣営には自信があった。当時から馬体(536キロ)は16キロ増。競馬の祭典で舞い上がったパドックも落ち着いて周回した。指揮官は「心身共に成長したということ。ここでも走れるということをお見せできてよかった。この先まだ良くなると自分は思っている。これが完成形じゃない」とさらなる進化に期待していた。

 年末は予定通り有馬記念へ。この日、史上最多のジャパンC4勝を決めた武豊は「最後に有馬で勝つというのは、どれだけ大きなことなのかと思う」と早くもその目を年末のグランプリに向ける。年度代表馬の座もくっきり視界に入り、陣営の矛先は世界の舞台にも向けられている。「今日の勝ちっぷりを見れば、当然来年のドバイシーマC、凱旋門賞も期待してしまう」と世界を知る男も興奮を隠さない。現役最強の“日本馬”に限りなく近づいたブラック。その雄大な馬体には、まだ多くの夢が詰まっている。

 ◆キタサンブラック 父ブラックタイド 母シュガーハート(母の父サクラバクシンオー)牡4歳 栗東・清水久厩舎所属 馬主・大野商事 生産者・北海道日高町ヤナガワ牧場 戦績13戦8勝 総獲得賞金9億4653万1000円。

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