【天皇賞・秋】府中の2000メートルに伝説築く!モーリス優勝

[ 2016年10月31日 05:30 ]

<天皇賞・秋>笑顔で握手するライアン・ムーア(左)と堀師
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 モーリス、横綱相撲で2階級制覇達成!!「第154回天皇賞・秋」は30日、東京競馬場で行われ、1番人気に推された昨年の年度代表馬モーリスが好位から堂々と抜け出して優勝。国内外で芝1600メートルのG1を4勝してきた世界のマイル王が、芝2000メートルのG1タイトルという新たな勲章を手に入れた。今週から短期免許で来日した鞍上のライアン・ムーアは春秋を通じて天皇賞初制覇。管理する堀師は10年春のジャガーメイルに続く2度目の盾制覇となった。

 検量室に引き揚げてきたムーアが、馬上で控えめに右手を上げた。今月2日の凱旋門賞でファウンドを圧勝させた世界の名手にとって、モーリスをVに導くのは、難しいミッションではなかった。「今日は完璧な仕上がりを陣営が用意してくれた。今までにない走りをお見せすることができた」。わずかに笑みを浮かべながら、陣営の努力を称えた。

 ささやかれた距離不安を一掃する、圧巻の強さだ。スタートを決めて道中は5番手外を追走。1000メートル通過60秒8の緩い流れでも気負うことなく進み、直線に入ると一気にギアを上げた。残り400メートルで早くも先頭に躍り出ると、ゴールまで重戦車のようにパワフルな脚を持続。力の差を誇示するように、2着リアルスティールを1馬身1/2従えて悠々と先頭ゴールした。

 「早めに仕掛ける形になったが、パワフルになっているので誰も追いつかれない自信があった」。クールにレースを振り返ったムーアは、インタビューを終えると猛ダッシュ。11月1日に行われる豪州G1メルボルンCでボンダイビーチに騎乗するため、大急ぎで成田空港へと向かった。

 陣営にとっては、2年越しのチャレンジだった。昨春の安田記念V後に距離を延ばすプランが検討されたが、当時は「燃え過ぎる気性とゲート」(堀師)と2つの課題があった。そこでマイル路線での快進撃を続けつつ、パートナーの横に3/4馬身頭を入れて我慢させる調教などで徐々に弱点を修正。折り合いも発馬も格段に改善され、ムーアが「今までにない」と表現した圧巻の走りを引き出した。

 今後は予定通り、暮れの香港遠征(12月11日、シャティン)を最後に種牡馬入り。候補は連覇が懸かるマイル、適性を実証した芝2000メートルのカップの2つ。「この後の状態を見てから。当然、相手関係も精査しなければ」と堀師。吉田和美オーナーの夫でノーザンファーム代表の吉田勝己氏も「モレイラは押さえているが、やっぱりライアン(ムーア)に乗ってほしいからね」と結論を保留した。

 距離の壁を克服した名馬の勇姿を見られるのも、残り1戦。「現場の人間としては、まだやり残したことがある。でも、本当に大した馬です」と堀師。今のモーリスなら、マイルでもカップでも期待に応える走りで有終の美を飾るだろう。

 ◆モーリス 父スクリーンヒーロー 母メジロフランシス(母の父カーネギー)牡5歳 美浦・堀厩舎所属 馬主・吉田和美氏 生産者・北海道日高町戸川牧場 戦績17戦10勝(うち海外2戦2勝) 総獲得賞金8億6237万1900円(海外含む)。

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