【天皇賞・秋】エイシンヒカリ 国内G1初制覇へ満点追い

[ 2016年10月27日 05:30 ]

武豊騎手を背に軽快な動きをみせるエイシンヒカリ
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 世界のエイシンヒカリが国内G1初制覇へ視界良好!「第154回天皇賞・秋」(30日、東京)の追い切りが26日に美浦、栗東トレセンで行われた。昨年末の香港C、5月の仏・イスパーン賞と2つの海外G1を制して、世界1位の座に輝いたヒカリ。CWコースでのリラックスした追い切りに、前哨戦をパスした効果が表れていた。なお、同レースの出走馬、枠順は27日に確定する。

 “暴”のち“静”――。「この感じは(昨年の)毎日王冠の時と似ている」。最終追いを終えた武豊がつぶやいた。名手が思い出したのは、約1年前のエイシンヒカリの追い切りで感じた手応えだった。

 最終リハは1週前と同じCWコースで単走。前週は序盤で暴走気味に加速し、しまいはバテバテになった。だが、この日は別馬のように落ち着いた走り。リズムよく加速していき、余力十分で直線を迎える。鞍上が軽く促すと、首を沈み込ませるような独特なフォームで駆け抜けた。100点満点の大人の走り。動きを見守った坂口師は「今日は折り合えていたし、凄くいい動きだった。8月から厩舎でじっくり仕上げて、最高の出来じゃないか」と称賛の言葉を並べた。

 昨年の毎日王冠は4カ月ぶりの実戦だったが、鮮やかに逃げ切った。だが、中2週で挑んだ天皇賞・秋はレース前にイレ込み9着に惨敗。武豊は「毎日王冠の時も1週前の追い切りでガッといったけど、当週は折り合えていた。共通するのは久々かも。昨年を踏まえて、今年は前哨戦を使わなかった」と説明。ガス抜きは1週前に終えて本番へ。昨年の“失敗”を踏まえて今年、勝利の方程式が完成した。

 天皇賞・秋は逃げ馬にとってまさに鬼門。スタート直後のコーナーで各馬が殺到し、ペースが上がる。そして最後には気が遠くなりそうな525・9メートルの直線。過去10年で逃げ馬の連対は08年ダイワスカーレット(2着)1頭のみで、最後に逃げ切った馬は87年ニッポーテイオーまでさかのぼらなければならない。武豊は「(2走前)イスパーン賞は2番手から強い競馬をしたし好位でも大丈夫」としながらも、「リズム良く運ばせるにはやっぱりハナ。内枠を引いて逃げ切りたいね」と腹をくくった。

 海外でのG1・2勝が評価され、6月発表のレーティングで世界1位(現在2位)に君臨。そのスピードに世界が驚いた。「前走(プリンスオブウェールズS6着)は自分が御せなかった。この次は香港Cで引退と聞いているし、国内G1は最後のチャンス。この馬の強さを日本の皆さんに見てもらいたい」と武豊。フル充電完了のヒカリが、国内ラストランでまばゆく輝く。

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