【スプリンターズS】王者アーサー、道悪馬場でも行きっぷり豪快

[ 2016年9月29日 05:30 ]

坂路、単走で追い切られたビッグアーサーは力強く駆け上がる

 ビッグアーサーが短距離統一王座に就く。国内秋のG1開幕戦「第50回スプリンターズS」の追い切りが28日、栗東、美浦トレセンで行われた。この日アーサーは坂路4F52秒5~1F12秒8をマーク、鬼気迫る走りで態勢を整えた。

【スプリンターズS】

 朝6時の栗東坂路。スプリンターズSに出走する馬たちが続々と坂路で追い切っていく。大粒の雨が落ち始めたのは、その後。「荒れたところに雨が降って、相当重かった」(仲田助手)。ビッグアーサーが登場したのは、坂路閉門間近の午前9時49分。やや重発表以上にタフな馬場だった。

 スタート直後、首を傾けながら右ラチへよれた。だが、鞍上の仲田助手は冷静な表情。「あれはいつものこと。我慢させないとグングン行っちゃう。その後はすぐに落ち着いた」。約1Fを過ぎた辺りでいつものフォームを取り戻す。丸太のような首を振りかざし、うなるようなストライド。鬼気迫る走りでライバルたちの蹄跡を蹴散らした。4F52秒5~1F12秒8と時計は平凡。それでも「あの馬場でしっかり走れていた」と同助手の表情は明るい。

 前走・セントウルS(1着)は生涯初の逃げでハイペースを演出した。ハナに立つレースを経験し、掛かりやすくなる馬は多々いるが「先週も今日も問題なかった。そういう面は全然心配していない」と同助手は“後遺症”をきっぱり否定。藤岡師も「本来は好位から差す形の馬だけど、あれでレースに幅が出た」と新たな引き出しを歓迎した。

 馬体も理想像に近づいている。1分6秒7のコースレコードで完勝した3月の高松宮記念。陣営が思い描くのは当時の体だ。同師は「(約半年ぶりの)前走は余裕残しだった。1回使われてトモや肩周りの筋肉の張りが戻ってきた。今回は(高松宮記念時と)遜色ない」と完調ぶりをアピールする。

 陣営は年末の香港遠征を否定し、ここが最大の目標と明言。今後に控える種牡馬プランのためにも是が非でも獲りたいタイトルとなる。「中山が初めてと言っても、右回りも坂のあるコースもクリアしている。貫禄勝ちを見せたい」と師。勝てば史上5頭目の春秋スプリント制覇。短距離王を証明する剣をアーサーが引き抜こうとしている。

続きを表示

2016年9月29日のニュース