【セントライト記念】マジェスティ感触絶好!重厚な体が宙を舞う

[ 2016年9月15日 05:30 ]

3頭併せで鋭く迫った皐月賞馬ディーマジェスティ(手前)

 春のクラシックホースが東西で始動V態勢を整えた。「第70回セントライト記念」(18日、中山)の追い切りが14日に美浦、栗東トレセンで行われた。ダービー3着以来の出走となるディーマジェスティが圧巻の走りを披露。史上5頭目となる皐月賞馬の同レース優勝へ前進した。

 最終リハーサルを終えた直後のやりとりは拍子抜けするほどシンプルだった。ディーマジェスティの追い切りから引き揚げてきた主戦・蛯名に二ノ宮師が「いい?」と声を掛ける。「はい!」と即答する蛯名。合わせてたった4文字の会話だが、アイコンタクトから両者の揺るぎない感触が伝ってくる。「走りはディープ(父ディープインパクト)、体はブライアンズ(母の父ブライアンズタイム)」。蛯名は報道陣の輪に入ると、口火を切った。

 ブライアンズタイムの血統を体現するような厚手の馬体がWコースで躍動する。先行したショウナンマルシェ(5歳1000万)との差は向正面でおよそ10馬身。4コーナーでインを突くと、重厚な体が宙を舞うように弾んだ。ディープインパクト産駒らしい軽くて切れのあるフットワーク。ゴールでは馬なりのまま1馬身差まで詰め寄っていた。「1週前追い切りでもだいぶ仕上がっていたので、ラストもかわさずに余裕を持たせた。夏場に充電してきたのを感じさせる動きだった」。言葉を継ぐ蛯名の傍らでは、二ノ宮師が後肢にボリュームの増した馬体を頼もしげに見つめている。「付くべきところに筋肉が付いて、貫禄が出てきた。それに非常に落ち着いている」と、ひと夏越して成長を口にした。

 ダービー3着後は北海道・日高町のファンタストクラブに移動。春の疲れを取り切った上で、同クラブの坂路で鍛え込んできた。その間には左前脚の蹄が欠損するアクシデントもあったが、エクイロックス(接着蹄鉄)で乗り切った。「元々、蹄が丈夫ではないし、このきょうだいはみんな蹄が小さいから…。でも、その後2カ月弱で爪も伸びて、今ではいい状態になっている」(二ノ宮師)。9月の声を聞くと、通常の蹄鉄に戻して調教を重ねてきた。

 凱旋門賞を来年以降の宿願にして臨む国内戦。「コントロールが自在だから3000メートルでも全く心配してない。いい形で菊花賞本番に向かいたいし、日本に残って競馬をする以上はいいレースをしたい」。蛯名、二ノ宮師とも異口同音に語る。「いい?」、「はい!」。両者の短いやりとりには始動戦への確かな感触が凝縮されていた。

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2016年9月15日のニュース