【キーンランドＣ】８歳エポワス　得意洋芝で“仕事”する

　【東西ドキュメント・札幌＝２３日】馬場を煙らせる滝のような雨。馬道の砂は川のように流れている。「日高を出発した馬運車が通行止めで引き返したらしいぞ」。調教スタンドに不安の声が交錯する。午前６時、日高地方に上陸した台風９号の影響で１時間当たりの最大雨量が３０ミリに達した札幌。「天気は最悪だが、エポワス（キーンランドＣ）はいい感じだぞ」。雨がっぱ姿の藤沢和師がスタンドへ引き揚げてきた。

　長老・梅崎の目に映ったのも８歳馬とは思えない柔らかい体、ハツラツとした歩様…。「セン馬で普段から余計なことをしないから長持ちする。最も適性のあるのが札幌、函館の洋芝。北海道でいい競馬をさせるために昨夏から１年近く休んでいたのだから頑張ってもらわないとな」と師は続けた。

　昨年のキーンランドＣ（９着）では馬群に包まれたまま馬なりゴール。取られたら取り返せ。オケラになった梅崎も１年待ち続けた一番。雨に煙る馬場に映ったのは、水も滴るいい男、いや瑞々（みずみず）しいセン馬である。