菜七子の兄弟子・野中ブレークの夏 先週日曜新潟で固め打ち3勝

[ 2016年8月5日 05:30 ]

好調の野中。夏のブレークを誓う

 根本厩舎の“次男坊”野中悠太郎(19)がこの夏、ブレークの予感だ。先週の日曜新潟は自身初の一日3勝と特別レース(10R・岩室温泉特別)Vを達成。師匠の根本師も認める2年目の進化の裏には“妹弟子”の新人女性騎手・藤田菜七子(18)の存在があった。武井壮、白井健三といった別ジャンルのアスリートからも貪欲にエキスを吸収。飛躍の夏を迎えようとする若武者から目が離せない。

 菜七子の兄弟子の人――。所属する根本厩舎に今春、藤田菜七子が加わり、野中はとにかくそう見られてきた。「それは仕方のないことだと思っている。むしろ下が入ってきて、やらなきゃいけないという気持ちが強くなった」。全国的なフィーバーを巻き起こした“妹弟子”。その存在が2年目の野中に自覚を与えた。

 先週は新潟(日曜)で自身初の一日3勝をマーク。10R・岩室温泉特別では自厩舎のドリームドルチェで、初の特別レース勝ちも収めた。野中は「3頭ともイメージとは違った勝ち方だったので馬の力が上でした。でも、1年目の自分だと焦っていたところで落ち着いて騎乗できた。少しは余裕が出てきたのかなと思う」と照れくさそうに話したが、師匠の根本師は確かな成長を感じ取っていた。「2勝した後に“今日はもう無理か”と冗談で聞いたら、“僕は特別レースを勝ちたいんです”と言ったんだ。菜七子が来てから物事をはっきり言うようになったね。努力もしているし、1年やって視野が広がっている」と目を細めた。

 2年目を迎え、少しだけ生まれた余裕。成長のためのアンテナは常に張るようにしている。「テレビで武井壮(タレント)さんが“自分の体のコントロールの大切さ”について話していて、トレーニングでも意識するようになった」。あす6日開幕するリオ五輪も野中にとっては学びの材料だ。「体操の白井健三(19=日体大)さんは同年代だし楽しみにしている。体の使い方や世界で戦うメンタル面を勉強したい」。

 40分を超える取材の最後にポツリと本音が漏れた。「やっぱり下ばかり注目されるのは面白くないですもんね」。兄弟子の丸山を含め3人の若手騎手が切磋琢磨(せっさたくま)する根本厩舎。控えめだった“次男坊”がこの夏、殻を破ろうとしている。

 ◆野中 悠太郎(のなか・ゆうたろう)1996年(平8)12月29日生まれ、福岡県出身の19歳。趣味はお笑い番組を見ること。座右の銘は凡事徹底。1メートル61、46キロ、血液型A。15年3月、中山でデビュー。15年7月19日の福島1Rキャラメルサレで初勝利。

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2016年8月5日のニュース