【ベルモントS】ラニ1馬身半差3着 武豊「一瞬勝てそうかなと」

[ 2016年6月13日 05:30 ]

ベルモントSで3着に入る健闘を見せたラニ(左から2頭目 撮影・秋田 麻由子)

 米国3冠の最終戦、「第148回ベルモントS」(G1、ダート2400メートル、13頭、優勝賞金80万ドル=約8640万円)が11日(日本時間12日朝)、米ニューヨーク州のベルモントパーク競馬場で行われ、日本馬で初めて米3冠にフル参戦したラニ(牡3=松永幹)は惜しくも3着に敗れた。勝ったのは7番人気のクリエイター。プリークネスSとの2冠を狙った1番人気・エグザジャレイターは11着だった。

 ラニは序盤、いつものように最後方から。向正面で進出を開始し、4角では外に出し7番手で通過。コーナーではズブくてやや置かれ気味になったが、直線でエンジンがかかった。「ヒア・カムズ・ラニ!」。実況が絶叫する。抜け出したデスティンに迫るクリエイター、その外にラニ。脚勢の良さに「ラニ・アウトサイド!」とまたも実況の声が上がったが、並んだ前2頭に1馬身半届かなかった。

 武豊が「状態はかなり良かった。スタートも今までで一番。向正面で前の馬の動きを見て判断して動いた。距離が長いから慌てず、でも凄い長い脚が使えるわけじゃないからラニとコースの特徴を考えてうまくいったと思う。一瞬勝てそうかなと思ったし、力は出せた。惜しかったね。あそこまでいったら勝ちたかった」と唇をかみしめた。

 松永幹師は「ここにきてようやく馬が良くなったし、ラニの競馬はできた。ベルモントSは日本馬が勝てる可能性がかなりあるレースだと思う」と笑顔を交えて振り返った。

 日本調教馬がケンタッキーダービーに挑戦したのは95年スキーキャプテン(14着)以来21年ぶり。今年の3冠皆勤はラニとエグザジャレイター(2、1、11着)の2頭だけというハードなサーキットを、ラニは9、5、3着と着順を上げて完走した。父タピットと同じ芦毛で米国にもなじみの血統と姿。さらに他馬を威嚇する気性の激しさから「ビースト(野獣)」「ゴジラ」と異名を付けられ、米国メディアや競馬ファンにも受け入れられた。米国のSNSでラニのファンサイトができたほどの人気ぶりだった。

 武豊はレース後「今回のラニの結果は(日本の競馬界に)新しい扉を開けたと思う」と述べた。ラニの挑戦はこれで終わりではない。帰国してからはリフレッシュ休養する。復帰戦は未定だが、松永幹師は「ラニもいずれまたアメリカに戻ってくるでしょう」と再度の挑戦も示唆した。

 そして武豊の挑戦も止まらない。「僕自身、20歳からアメリカに来ていて、今回の3冠戦はいい経験になった。勝ちたいレースがどんどん増えていくからやめられないね」と充実の表情を見せた。15日は英国・アスコット競馬場で行われるG1プリンスオブウェールズS(15日=日本時間同日深夜、芝2000メートル)で、現在レーティング世界No・1のエイシンヒカリ(牡5=坂口)に騎乗する。

 ◆ラニ 父タピット 母ヘヴンリーロマンス(母の父サンデーサイレンス)牡3歳 栗東・松永幹厩舎所属 馬主・前田幸治氏 生産者・米国ノースヒルズ 戦績9戦3勝 総獲得賞金約1億8616万3100円(戦績、賞金共に海外含む)。

 ▼米国3冠競走 5~6月の約1カ月の間に行われるケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ競馬場、ダート10F)、プリークネスS(ピムリコ競馬場、ダート9・5F)、ベルモントS(ベルモントパーク競馬場、ダート12F)の3戦を指す。3戦全てを制した馬が米3冠馬。歴代3冠馬は1919年サーバートンから、昨年アメリカンファラオまで12頭いる。

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月13日のニュース