【日本ダービー】マカヒキ8センチ鼻差で世代頂点に!川田が泣いた

[ 2016年5月30日 05:30 ]

世代頂点だ!!サトノダイヤモンド(左)とのデッドヒートを制したマカヒキ

 ゴール前の激しい叩き合いに13万9000観衆が酔いしれた。競馬の祭典「第83回ダービー」が29日に東京競馬場で行われ、3番人気のマカヒキがサトノダイヤモンドとの約8センチの鼻差接戦を制して、13年生まれの6913頭のサラブレッドの頂点に立った。父ディープインパクト×母ウィキウィキは共に金子真人オーナーの所有馬で“金子ブランド”の結晶。同オーナーは3度目のダービー制覇となった。手綱を取った川田将雅はこの勝利で、JRA史上8人目となる「5大クラシック完全制覇」の偉業を達成した。

【レース結果】

 世代の頂点へ、2頭が馬体を並べてゴールへ飛び込んだ。内で粘るマカヒキか、外から強襲したサトノダイヤモンドか――。場内がどよめく中、ゴールを過ぎてから両鞍上は馬上でガッチリと握手を交わす。写真判定の結果、軍配は鼻差しのいだマカヒキに上がった。鞍上の川田は検量室前で金子オーナー、友道師に出迎えられると目に涙を浮かべて喜びを爆発させた。

 「ゴールの瞬間は正直、勝ったと思った。何よりもマカヒキがダービー馬になれたことがうれしい。直線は右斜め前に相手(サトノ)がいて、少し狭くなりましたがいい脚を使ってくれた。最後は何とか“しのいでくれ”と思って必死に追いました」

 マイネルハニーが引っ張る隊列。前半1000メートルの通過が1分フラットという平均的な流れを、マカヒキは中団インで脚をためた。鞍上が「いい位置に付けられて、スムーズに運べた」という完璧な立ち回り。直線入り口でエアスピネルが先に抜け出したところを、サトノが外から馬体を併せるように進出。その間に挟まれる形になったマカヒキだったが、川田の気迫の右ムチに後押しされるようにグングン加速。わずかに空いたスペースをこじ開けた。

 普段は冷静沈着な友道師も「久々に声が出たよ。周りの人に“勝った”と言われて初めて実感が湧いた。オーナーと握手した時は感動しましたね」と、さすがに興奮を抑え切れなかった。

 父ディープインパクト、母ウィキウィキは共に同オーナーの所有馬で“金子ブランド”の結晶。全姉のウリウリはスプリント路線で活躍するだけに距離不安がささやかれた。それでも獣医師の資格を持つ師は「新馬戦(京都・芝1800メートル)の口取り写真を撮る時、一度も息が乱れなかった。それを見たオーナーは“こんな馬はキンカメ以来だね”と言っていた。胸前の筋肉が凄くて、それにまだトモが付いてきていない感じ。他の馬にはない可動域の広さがある」と距離への不安は口にしなかった。

 500キロ超の雄大な馬格から繰り出されるフットワークは04年覇者のキングカメハメハと同じ。それに加え精神力の高さは世代屈指。返し馬でも1頭だけ誘導馬の後ろをゆっくりと歩くなど、肝の据わった根性を見せた。

 今後は登録済みの凱旋門賞(10月2日、シャンティイ)も視野に入る。友道師は「このままノーザンF天栄(福島県)へ放牧。馬の状態を見てだが、重量の差もあるからね。精神的にも強い馬なので」と世界挑戦へ含みを持たせた。鞍上の川田はこの勝利で史上8人目となる「5大クラシック完全制覇」を達成。人馬のさらなる飛躍へ、大きな自信となる1勝となった。

 ◆マカヒキ 父ディープインパクト 母ウィキウィキ(母の父フレンチデピュティ)牡3歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・金子真人HD 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績5戦4勝 総獲得賞金3億6055万3000円。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月30日のニュース