【日本ダービー】オーディン圧倒100点!馬体のスケール既に4強超え

[ 2016年5月25日 05:30 ]

万全の仕上がりを見せるスマートオーディンの漆黒の肉体

 “4強”超えのスケールだ。鈴木康弘元調教師(72)がG1出走馬の馬体を診断する「達眼」。第83回ダービー(29日、東京)では全18頭の中から京都新聞杯勝ちのスマートオーディンに100点満点を付けた。皐月賞の上位“4強”ではサトノダイヤモンドを唯一満点。達眼が捉えたダービー獲りのボディーポイントとは…。

 ダービーは皐月賞“4強”の争いになると想定していました。勝ったディーマジェスティ、2着マカヒキ、3着サトノダイヤモンド、4位入線(5着降着)のリオンディーズ。このトップ4がつくる勢力図を短期間に塗り替える馬などいないだろうと思っていました。別路線からやって来たスマートオーディンの馬体を見るまでは…。

 漆黒の傑出した肉体が示すのは超一流馬の相。骨量と筋肉量は見る者を圧倒します。肩は岩肌のように盛り上がり、トモ(後肢)は鎧(よろい)をまとったように厚い。実際には480キロ前後の体重なのに500キロを超えているように映るのは筋肉のボリュームのせいでしょう。背中から腰、トモにかけての丸みを帯びた輪郭は強い弾力性を感じさせます。首差しは素軽く、立派な腹袋は引き締まってアバラがうっすら浮き上がっている。最も際立っているのはキ甲(首と背の境にある膨らみ)です。発達して背中の方まで伸びている。キ甲が完成度を示すバロメーターだとすれば、4強をしのぐ完成度でしょう。

 何より驚かされるのは、筋肉の繊細さです。一見、筋骨隆々でごつい印象ですが、目を凝らせば、柔らかい筋肉が無駄なく付いている。こういう筋肉は疲労しづらいから最後に素晴らしい脚を使える。使い減りしないタフさも備えてます。

 ただ一点、注文を付ければ、立ち姿に緊張感が乏しい。目つきも耳の立て方もおっとりしている。厳しい競馬を経験したことがないからでしょう。皐月賞の修羅場をくぐって、立ち姿に張りが出たサトノダイヤモンドとは対照的です。四肢にバンデージを巻いて写真撮影に臨んでいるため、球節、管の状態は不明。とはいえ、馬体のスケールは既に4強を超えています。もし、緊張感をたたえた顔つきでダービーのパドックに現れたとすれば…。 (NHK解説者)

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2016年5月25日のニュース