【ヴィクトリアM】レイアー100点 円熟の極みに達した野武士の体

[ 2016年5月11日 05:30 ]

白い馬体が際立つスマートレイアー

 鈴木康弘元調教師(72)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第11回ヴィクトリアマイル」(15日、東京)では2連勝中のスマートレイアー、G1・2勝のミッキークイーンを100点に採点した。達眼が捉えた2頭の変化とは…。

【ヴィクトリアM】

 芦毛には見栄えする馬が少ない。ぼやけて見える白やライトグレーの膨張色のせいでしょう。フォトスタジオに婚活、お見合い用の写真を撮ってもらいに行くと、膨張色のスーツよりも引き締まって見える収縮色のスーツ着用を勧められるそうです。視覚に訴える色彩効果。馬の被毛なら青毛など収縮色の方が見栄えはいい。ところが、スマートレイアーは膨張色の芦毛でもくっきりとした輪郭。最も際立って映る。野武士のような筋骨だからです。

 深い胸前、トモの豊富な骨量と筋肉量、トモの力を推進力に変える強じんな飛節、立派な腹袋…。実は、昨年のエリザベス女王杯時も今回と同じ馬体のつくりをしており、90点を付けました。満点にしなかったのは、詰まった立ち方をしていて、精神状態に疑問を抱いたからです。

 今回は実に伸びやかな立ち方。気持ちにゆとりがある。ハッピーな気分がストレートに伝わってきます。目つき、耳の立て方、鼻の穴の膨らまし方は適度な緊張感を示している。エリザベス女王杯以上に精神的に充実している証でしょう。

 ひと目で分かる昨年との違いは蹄です。右前の内側と左前の外側には新たにエクイロックス(接着装蹄)が施されています。蹄の一部が欠損したのか、あるいはクギが打てなくなったのか。いずれにせよ、きちんと対処しているだけに問題はありません。

 野武士のようなたくましい肉体に気持ちのゆとりも加わった6歳牝馬。出走馬の中で唯一の芦毛馬は年齢とともに膨張色の白さを増しながら、ついに円熟の極みに達しました。

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2016年5月11日のニュース