高木記者が競馬学校潜入 つらすぎ騎手の道…菜七子ちゃん凄いよ

[ 2016年4月20日 05:30 ]

木馬にまたがり小林教官(奥)から騎乗指導を受けるスポニチ本紙・高木記者

 ジャージー姿はやる気の表れ!昨年の有馬記念でスーツ姿で美浦トレセンに潜入取材し、見事ゴールドアクター◎で的中させたスポニチ本紙・高木翔平記者。今回はご覧の姿で千葉県白井市のJRA競馬学校に潜入。夢に向かってハードな日々を送る騎手課程生たちの一日に密着し、肌でアスリートの卵の能力の高さを感じ取った。

 まずは4月に入学したばかりの新入生たちの馬術訓練を見学。そこには藤田菜七子(18)に続く女性騎手を目指す芳賀天南(15)さんの姿も。入学前に乗馬の経験がない芳賀さんも、落ち着いた様子で旋回運動をこなしていた。岡崎詠司教育課長は「まずは馬上でバランスを取れるようになるまで練習。ハミ受け、追い出し、ゲートと段階的にレベルを上げていきます」と説明していただいた。

 昼食は課程生が普段口にしているものを頂いた。騎手と言えば過酷な減量のイメージ。正直、量が少なかったり、味が薄かったりするのかと想像していたが、そんなことはない。ひじきご飯に、脂の乗った焼きサバ。とてもおいしい!日々の体重管理は義務として課されているがハードな練習をこなすためにしっかりと食べることも大切なのだ。

 昼からは35期生(順調なら18年デビュー)のフィジカルトレーニングに参加。馬に乗るわけじゃないのに、ヘルメットとプロテクターを着用している。岩下智之トレーナーはその意図を「身につけているものだけでも感覚は変わってくる。身体感覚を大切にしている」と説明。日頃から実戦感覚を身につける意識を高めているのだ。

 課程生たちは天井からつるされたロープを腕だけでスルスル上っていく。よく見ると腰には10キロの重りも!?自分も高校時代は野球に打ち込んだ身。ここは意地を見せたい!そう、ジャージーはこのために着てきたのだ。だが現実は…、65キロのブヨブヨの体は3秒間ぶら下がっているのが限界。「最初は上れない子も多いが、しっかりトレーニングを積めば卒業時にはできるようになる。菜七子も重りなしなら楽に上っていましたよ」と岩下トレーナー。アスリートの身体能力の高さを改めて実感することとなった。

 この時点でフラフラだったが、鬼のメニューは最後に待っていた。寮の一室には5台の木馬が置いてある部屋があり、課程生たちは放課後もここで自主的に汗を流す。小林淳一教官の熱血指導の下、人生初の木馬体験。正直、騎乗体勢を取るだけでしんどい。「直線だよ、追って追って!」と言われても、最後は木馬に抱きつくのが精いっぱい。騎乗ってこんなにつらいのか…。

 夢に向かって、普通の高校生とは異質な毎日を送る候補生たち。その生活の一端に触れ、心から応援したい気持ちが湧いてきた。頑張れ騎手の卵たち!

 ▼JRA競馬学校 82年3月設立。敷地総面積は26万3461平方メートル。騎手課程(3年制)と厩務員課程(6カ月制)がある。騎手課程第1期生は柴田善臣、石橋守(現調教師)、須貝尚介(同)ら。全寮制で騎手課程生徒は原則として外泊できない。実技、馬学などの他に茶道の授業もあり、2年目後半からはトレセンでの厩舎実習を行う。

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