【高松宮記念】スプリント界に新星!ビッグアーサー驚異的レコードV

[ 2016年3月28日 05:30 ]

好位から差し切り春のスプリント王に輝いたビッグアーサー(中)

 スプリント界に新たな“スター”が誕生した。27日、中京競馬場で行われた高松宮記念は、重賞未勝利ながら1番人気の支持を集めたビッグアーサーが好位から鋭く伸びて優勝。1分6秒7の驚異的レコードタイムで駆け抜けた。初コンビを組んだ福永祐一は、13年天皇賞・秋(ジャスタウェイ)以来、2年5カ月ぶりの国内G1制覇となった。

【レース結果】

 直線は人気を分け合った2頭のマッチレース。重賞未勝利のビッグアーサーが、先頭に立ったG1馬ミッキーアイルの外から襲いかかる。初コンビを組んだ福永の左ムチに応え、グングン差を詰めると残り100メートルで実力馬を競り落としフィニッシュ。大役を果たした福永は満面の笑みで検量室に引き揚げてきた。

 「重賞未勝利でも力があるのは分かっていた。いいタイミングで乗せてもらった。理想的な展開で、凄くスムーズな競馬ができた」

 逃げ馬3頭による注目の先行争いはローレルベローチェが制し、すぐ外にハクサンムーンが並びかけ、ミッキーアイルは3番手。3頭が後続を離して引っ張り、前半3Fは32秒7のハイペースで流れた。アーサーはその4番手を手応えよく追走。福永は「レコードが出る馬場コンディション。スタートを決めて、一番いいところをついていけた」と勝因を振り返る。

 1分6秒7の勝ち時計はコースレコード。土曜からBコースに替わった芝レースは、高速決着が連発していた。「速い時計も持っている馬。内枠(4番)も有利に働いた」と全てがかみ合った結果の勝利だった。 福永は昨秋の10月31日に京都で落馬、右肩鎖関節脱臼するなど重傷を負った。先月13日に復帰したが、当初は思うような成績を残せなかった。「ブランクもあって体の動きがイマイチだったが、徐々に良くなってきた。今は完調」と語るように、先週は阪神大賞典→フラワーCと重賞連勝。勢いに乗って、G1も制した。

 鞍上にとってビッグタイトルは、13年天皇賞・秋から2年以上も遠ざかっていた。昨年の牡馬3冠は良血リアルスティールとのコンビで2→4→2着と勝ち切れなかった。その相棒は前夜、世界の名手ムーアとの新コンビでドバイターフを優勝。福永は「当然レースは見たけど、複雑な思いもあった」と心境を口にした上で「日本馬の活躍は凄い。自分も馬にとって優秀な騎手になれるように、もっと高めていきたい」と気持ちを新たにして臨んだ大舞台でもあった。

 02年に開業した藤岡師にとって、G1は43頭目の出走で初勝利となった。2着は3度もあっただけに、師は「やっと勝てて素直にうれしい」と安どの表情。今後について「千二に特化していこうと思う」と断言した。サマーシリーズ参戦も視野に入れ、秋はスプリンターズSが最大目標となる。福永は「短距離界を引っ張っていく存在になる」と将来性に太鼓判。ロードカナロアがターフを去って以降、主役不在だったスプリント界に新星が誕生した。

 ◆ビッグアーサー 父サクラバクシンオー 母シヤボナ(母の父キングマンボ)牡5歳 栗東・藤岡厩舎所属 馬主・中辻明氏 生産者・北海道浦河町バンブー牧場 戦績11戦7勝 総獲得賞金2億3988万7000円。

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