競馬学校から自宅に帰った菜七子だが…「馬がいない生活はつまらない」

[ 2016年3月2日 05:30 ]

昨年12月に競馬学校で行われたクリスマス会で同期生と笑顔の藤田(前列右)

 JRAで16年ぶり、7人目となる新人女性騎手、藤田菜七子(18)が3日、大注目を集める中、川崎競馬場(中央は5日)でデビューする。騎手を志してから現在に至るまでの道のりをたどり、その素顔に迫る。

 「もう辞めたい」――。菜七子が茨城県の自宅に帰ってしまったのは競馬学校1年生の時。全寮制の騎手課程は、体重管理のために厳しい食事制限が課される。成長期まっただ中の生徒にとって相当こたえるようで、これをきっかけに脱落する者もいる。しかし、菜七子の場合は違った。

 「これ以上練習しても、うまくならないのかな」

 初めて感じる、大きな挫折。最初に馬にまたがった乗馬苑時代から着実に技術を上げていったが、「体力、筋力不足でついていけないこともあった。苦しかったし、つらかった」。

 乗馬苑時代の恩師でもあり、競馬学校でも指導に当たった渡辺雅也教官は「負けず嫌いな性格で、あまり泣き言を聞いたことはなかったのですが…。女の子一人だったのもあって、抱え込んでしまったのでしょう」と当時の心中を推し量る。自宅へと帰った菜七子はもう一度自分を見つめ直した。そしてある思いにたどり着いた。

 「馬がいない生活はつまらない。もう一回やってみよう」

 もう、菜七子にとって馬はなくてはならない存在となっていた。1週間で再び、競馬学校へと戻った。

 それ以降も母・恵子さん(46)は「つらかったらいつでも帰っておいで」と気遣い続けた。競馬学校卒業式で涙を流す母の姿を見て「もらい泣きしそうだったので、あまり見ないようにしていました。いつも心の支えとなってくれました」と感謝の言葉を口にした。

 美浦には1221人の厩舎従業員がいるが、うち女性は19人と超少数派(2月2日現在)。13年に騎手を引退した増沢由貴子(現・菊沢厩舎調教助手)から現役時代の苦労話を聞いたり、女性スタッフたちと食事に行ったりと情報交換を欠かさない。名古屋競馬の女性騎手・木之前葵とはLINEでつながっており、たびたびメッセージが来る。「女性同士にしか分からないことも多い。協力してやっていかないと」。小さいが強い絆で結ばれた“女子会ネットワーク”が、今の菜七子の支えとなっている。

 ◆藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年(平9)8月9日、茨城県生まれの18歳。根本康広厩舎所属。目標の騎手はリサ・オールプレス。1メートル57、46キロ。血液型A。

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