橋口弘師ラストレースに大歓声、会見で感謝「競馬人生に悔いなし」

[ 2016年2月28日 17:55 ]

橋口弘次郎調教師に涙を流しながら花束を渡す小牧太騎手(左)

 “橋口弘劇場”の壮大なフィナーレ。ファンはその笑顔を生涯忘れない。

 28日、阪神競馬場の最終レースは重賞に負けない盛り上がりを見せた。橋口弘師が最後のレースを迎えるからだ。4番人気キタサンウンゲツはゲートを決めて好位外目に取り付く。直線に向き、鞍上の小牧からこん身の左ムチが振り下ろされるが先行勢を捕らえ切れず、10着に敗れた。

 劇的な有終Vはならなかったが、ウイナーズサークルには鈴なりのファン。期せずして歓声が飛ぶ。「先生ありがとう!!」「たくさんの夢をありがとう」

 橋口弘師もこれに応え、ファンの元に駆け寄って花束を両手で受け取る。声を出して泣いている女性もいた。阪急杯(ミッキーラブソング4着同着)から最終戦と手綱を任された小牧はレース後、ギュッと手を握り感謝を伝えるが、嗚咽(おえつ)で声にならない。

 「13年間ありがとうございました。きょうは我慢しようと思ったけど最後だから泣いていいかなと」。実は阪急杯のパドックからすでに泣いていたと告白。「先生の顔を見たら涙が止まらなかった。ゴーグルで隠したけど、(涙が)はみ出した」と笑った。

 会見で橋口弘師は改めてファンに対する感謝の言葉を口にした。「ひとことで言えば、最高の競馬人生でした。売り上げも急激な右肩上がりで、いい時代に競馬が出来たことが最高の喜びです。我が競馬人生に悔いなしです」

 G1・10勝、重賞勝ち96勝を含むJRA通算8645勝991勝。96年の菊花賞馬ダンスインザダーク、05年に有馬記念を制したハーツクライ、14年のダービー馬ワンアンドオンリーなど数々の名馬を育て、日本一ファンに愛された名トレーナーは春を感じさせるこの日、静かに采配を置いた。

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