【有馬記念】ゴールドアクター4連勝で一気に頂点!吉田隼初G1

[ 2015年12月28日 05:30 ]

有馬を制したゴールドアクターの吉田隼は左手を突き上げ、スタンドにアピール。左は3着のキタサンブラック、右は2着のサウンズオブアース

 15年の中央競馬を締めくくるグランプリ「第60回有馬記念」は27日、中山競馬場で行われた。アルゼンチン共和国杯Vから臨んだ8番人気ゴールドアクターが好位から抜け出して優勝。デビュー13戦目、4連勝でG1タイトルをものにした。騎乗した吉田隼人(32)にとっても、デビュー12年目でうれしいG1初勝利。引退レースとなった1番人気のG1・6勝馬ゴールドシップは、後方からまくったものの8着でゴール。有終の美を飾ることはできなかった。

【レース結果】

 雄叫びを上げながら追いまくる吉田隼の気迫が乗り移ったかのように、直線半ばで先頭に躍り出たゴールドアクターが坂を上がり切ってからさらに加速した。外から迫るサウンズオブアースを首差抑え込み、8番人気の低評価を覆す堂々たるVゴール。

 「G1ジョッキーになりたいと思って、この業界に入った。ここを勝たなければチャンスはないと思った」。デビュー12年目で悲願の初G1制覇を達成した吉田隼は、左手で誇らしげにガッツポーズを決めた。

 この大一番に懸ける思いは並大抵のものではなかった。11月29日の東京5Rで馬場入場時に他馬に蹴られて右膝蓋(しつがい)骨を亀裂骨折。全治6週間の診断で、既に1カ月を切っていた有馬記念の騎乗に赤信号がともった。だが、目の前にあるG1制覇の好機。諦めるわけにはいかなかった。超音波治療や酸素カプセルなど手を尽くして回復を促進。2週前に乗り代わりの話が出た時には「有馬では絶対に体を動かせるようにする」と直訴した。

 その執念は騎乗ぶりにもはっきりと表れていた。スタート後に手綱を押してハナを主張。3コーナー手前でスッと控えて外の2頭を行かせ、3番手のインでスムーズに折り合った。結果的に淡々とした先行馬有利の流れ。この位置を確保できたことが最大の勝因となった。吉田隼も「この馬のテンションを考えたら、他の人は慎重になるはず。自分なら出していって抑えられる。一番うまく乗れる自信があった」と胸を張った。

 ゴールドアクターの急上昇ぶりも驚異的だ。昨年の菊花賞で3着に善戦したとはいえ、前走・アルゼンチン共和国杯で重賞初制覇を飾ったばかり。中川師も「4歳の春から夏へと徐々に力をつけていった。でも正直、ここまでとは思っていなかった」と、想像を上回る成長ぶりに目を細めた。

 4連勝でG1ウイナーの仲間入り。今後について師は「来春は天皇賞(5月1日、京都)が大目標」と盾獲りを誓った。一方、吉田隼は「(このVで)自分を見る目が変わる?何でも外国人になってしまう時代。そんなに甘くない」。大きな勲章を手に入れた人馬にとって、16年はさらなるステップアップを狙う一年となる。

 ◆ゴールドアクター 父スクリーンヒーロー 母ヘイロンシン(母の父キョウワアリシバ)牡4歳 美浦・中川厩舎所属 馬主・居城要氏 生産者・北海道新冠町北勝ファーム 戦績13戦7勝 総獲得賞金4億1991万4000円。

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