【有馬記念】(15)ゴールドシップ 有終7冠へ“気合いMAX”

[ 2015年12月27日 05:30 ]

中山競馬場に到着したゴールドシップ

 主役は一番最後にやってきた。11頭いる関西馬の大トリとして午後3時45分、ゴールドシップが決戦の地・中山に降り立った。待ち受けた20人近い報道陣を気にする様子もなく、貫禄十分に馬房へ。ちょっと一服とばかりに、軽く草を頬張る。今浪厩務員は「渋滞に巻き込まれず、順調にここまで来られてホッとしています」と安どの笑みを浮かべた。

 ラストランまで残り24時間を切った。無事にレースを迎えられることはうれしいが、苦楽を共にしてきた57歳のベテラン厩務員には、反対の感情もこみ上げてきた。過ごし慣れた栗東の馬房に戻ることは、もうない。「きょうの朝になって、もの凄く寂しくなってきたんだ」と切りだした。

 「これで競馬に行くのは最後なんやな、と馬運車に積む前に感じたね。こいつと競馬に来ることも、洗うことも、一緒に歩くことも戦うことも、どれもできない。実感はあるよ…」。4年半前に55キロあった体重は、心身の疲れから50キロまで減った。それでも「朝起きて緊張しなくなるのが寂しい」と漏らす。

 ただ、ゴールドシップはこれがラストランであることを知るよしもない。「馬はいつもと同じ。馬は最後と分かってないし、分からしてもあかんしね」。やれる事は全てやった。内田が乗った1週前追い切りで“やる気スイッチ”がOFFからONへ。目に優しさがあったジャパンCの前とは雰囲気が違う。

 「この1週間でもの凄く気合が乗ってきたんだ。元気が良すぎて木曜日なんて引きずられたぐらい。今まで一番良かった今年の天皇賞・春に近いぐらいの出来じゃないかな」。泣いても笑っても、これがラストラン。“白い怪物”の雄姿を目に焼き付けよう。

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2015年12月27日のニュース