【有馬記念】WEST山中場長“ゴールドは日なたぼっこで強くなった”

[ 2015年12月25日 05:30 ]

山中庸喬氏

 ゴールドシップが放牧先として英気を養ったのが、吉澤ステーブルWEST(滋賀県)。同牧場の山中庸喬場長が最初にシップと出合ったのは、2歳の春。須貝厩舎入厩を控え、北海道から福島県の天栄ホースパーク(現ノーザンファーム天栄)内の吉澤ステーブルへ移動してきた。

 「最初の印象は体の大きい子だなと。その頃から我が強くて、装鞍も2人掛かりでした。よく立ち上がっていましたが、大きいのに身のこなしが素早かったですね。走る馬というより“危険な馬”という認識でした」

 順調に調教を積まれていた矢先、東日本大震災が発生。天栄ホースパークも被災した。ゴールドは福島からいったん北海道へ避難。小松トレセン(石川県)へ移動してから、ようやく須貝厩舎入厩にこぎつけた。震災を機に吉澤ステーブルは栗東トレセン近くに「WEST」を設立。ゴールドの栗東入退厩前後は、ほとんど同牧場を経由するようになった。

 山中場長はゴールドの強さの秘けつをこう話す。「放牧先での疲労回復がうまくいっていたと思います。彼専用のサンシャインパドックがあって、そこでよく日なたぼっこをさせてました。長く現役を続けることができたのは、それも大きかったのではないでしょうか」。まだ誕生して間もないWESTだが、ゴールドの活躍とともに歩み、発展してきたといっても過言ではない。「病院送りになったスタッフも何人かいましたが、彼と関われたことで私たちの競走馬の管理スキルが上がったように思います」

 いよいよラストラン。「精いっぱい、力を振り絞って走ってくれることを望んでいます。でも…勝ち負けよりも、今まで本当にありがとう、とお礼を伝えに行きたいですね」。その雄姿を中山で見届ける。

 ◆山中 庸喬(やまなか・やすたか)1977年(昭52)7月27日生まれの38歳。大阪府出身。北里大学獣医畜産学部畜産学科卒業後、大樹ファームを経て吉澤ステーブルへ。12年10月、吉澤ステーブルWEST場長に就任。

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2015年12月25日のニュース