【エ女王杯】マリアライト初戴冠 蛯名は京都G1&牝馬G1完全制覇

[ 2015年11月16日 05:30 ]

首差しのいでG1初優勝した(左から)マリアライト、2着ヌーヴォレコルト、3着タッチングスピーチ

 秋の最強牝馬決定戦「第40回エリザベス女王杯」が15日、京都競馬場で行われた。中団を進んだ6番人気マリアライトが力強く抜け出し、G1初挑戦で制覇。女王杯が3歳以上となった96年以降、重賞未勝利馬の優勝は6頭目。G1初挑戦馬の勝利は初の快挙。管理する久保田貴士師(48)は開業13年目で悲願のG1初制覇。騎乗した蛯名正義(46)は牝馬限定G1・6レース&京都G1・5レース完全制覇を達成した。

【レース結果】

 手に汗を握る激闘。残り1Fで先頭に出たマリアライトの背で蛯名は体全体を躍動させ、祈るように右ムチを懸命に振った。「外から来た馬の鼻面は見えていたので…。何とかしのいでくれ!」。迫るヌーヴォレコルト(2着)を首差振り切り、真っ先にゴールへ。その瞬間、蛯名の左手が高々と上がった。18頭中、一番小さな430キロの愛らしい馬がG1初挑戦でつかんだ栄光だった。

 中団に折り合い、道中も周囲に馬がいない絶好のポジション。自慢の持続する脚を信じ、4コーナーからスパート。関東が誇る巧腕の面目躍如だ。蛯名は「朝、占いを見たら“急がず地道に行きなさい”とあった。出たなりであの位置。占い通りに乗れた。上手に走れる馬で動きたい時に動けた。レースは完璧だった。馬もよく頑張ってくれた。こういう馬場(やや重)は得意。厩舎の方もきっちりシェイプアップしてくれた」と笑顔で振り返った。

 管理する久保田師は悲願のG1初制覇。明大馬術部時代、全日本学生馬術選手権3連覇(87~89年)を成し遂げた実績を持つ指揮官は、父の久保田敏夫元調教師の背中を追うように競馬の道へ。開業13年目のG1制覇に「ただただ、うれしいです。牝馬のこの距離のG1はそうない。年の初めから、女王杯を使いたいと思っていた」と喜びに浸った。

 半兄にクリソライト(13年ジャパンダートダービー優勝)、半弟にリアファル(15年菊花賞3着)がいる良血。ただ3歳の昨春で410キロ台。小柄ゆえに順調に使えなかった。4歳になった今年、着実に成長。6月マーメイドS2着で賞金を加算すると、本番まで適度に空くことを考慮し、余裕残しでオールカマー(5着)を使った。「きょうの430キロが適正体重で10キロ減は想定内。乗り方はマリアを支えてくれた蛯名騎手に任せてましたが、あまりにスムーズに行きすぎ、直線は“ウッ”と力が入った」と感激に浸った。

 蛯名はJRA牝馬限定G1・6競走に加え、京都G1・5競走の完全制覇を達成。「成長を促しながら、大事に使ってくれたのが実を結んだ。レース数も使ってないのでまだ伸びる」とさらなる進化を保証した。クラシックとは縁がなくても、地道に力を付けた新女王。仮に、男馬相手のG1に進路を取っても、マリア様の進撃は止まらないはずだ。

 ◆マリアライト 父ディープインパクト 母クリソプレーズ(母の父エルコンドルパサー)牝4歳 美浦・久保田厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績13戦5勝 総獲得賞金1億7519万円。

続きを表示

2015年11月16日のニュース