【菊花賞】ブラック大輪 初G1サブちゃん、トリは熱唱まつり

[ 2015年10月26日 05:30 ]

北村宏(右)の前で「まつり」を熱唱する北島三郎

 キタサンまつりだ!サブちゃんが競馬場で「まつり」を熱唱!!競馬のG1「第76回菊花賞」が25日に京都競馬場で行われ、演歌の大御所・北島三郎(79)がオーナー(名義は(有)大野商事)の5番人気キタサンブラック(牡3=清水久)が、直線最内から抜け出して優勝。北島は半世紀に及ぶオーナー歴で初のG1制覇を飾った。「勝てば歌うよ」の公約通り、ウイナーズサークルで「まつり」を歌い、5万観衆をレース後も盛り上げた。

【レース結果】

 ♪まつりだ、まつりだ、まつりだ、キタサンまつりー、オレもドンと頑張るよー、これが競馬のまつりだよー

 西日がまぶしい京都競馬場に北島三郎の歌声がこだました。G1競走の表彰式がステージと化したのは前代未聞。ウイナーズサークルでの北村宏司の勝利騎手インタビュー終了後、インタビュアーがオーナーの北島を壇上に呼んだ。

 「皆さーん、ありがとう。もう泣きました。涙が出ました。競馬場で歌うのは失礼かもしれないけど、公約だし、うれしいから歌うよ。サビのところからね。手拍子、お願いします」

 BGMも流れないアカペラでの熱唱は、初めて手にしたG1勝利の雄叫びにも聞こえた。「手拍子がバラバラだもん」と歌いだしに戸惑ったが、「紅白(歌合戦)のトリより上がったよ。ハラハラ、ドキドキだよ」と笑った。

 菊花賞のレースは首差勝ちの手に汗握る攻防だった。「双眼鏡で見ていました。内から抜けてきた時は“オーッ、行け、頑張れっ”と叫んでいました」と興奮。初めてのG1タイトルに胸が熱くなり、涙もこぼれたという。

 自身が北海道の牧場に行き「顔つきにほれた」と購入したキタサンブラックは皐月賞、ダービーに続き、クラシック追加登録料200万円を払っての菊花賞参戦だった。そこで手にした優勝賞金は1億1200万円(うち馬主賞金は80%)。歌手に例えるなら、ミリオンヒットを飛ばしたようなものか。この日のパドックでも「一番、イイ男に見えた」と自慢げだった。

 50年を超える馬主歴だけに馬を見る目は確か。キタサンブラックは母の父が94年JRA最優秀短距離馬サクラバクシンオーだけに、3000メートルの菊花賞は不安視されていた。だが北島は「私は気にしなかった」とキッパリ。理由はこれまで勝ったレースの表彰式だという。一般的に息が上がってジッとしていられない馬が多い中「ポーズを取ったまま動かない。心臓が丈夫なんです」と説明した。

 「昭和38年から競馬が好きで馬を所有しました。まもなく80歳を迎えようとする私ですが、生まれてからこれほどの感動を味わったことはないです」

 これまで所有した競走馬は計170頭。半世紀にわたって夢を追い続け、12度目の挑戦でついにもぎ取った悲願のG1成就。演歌の大御所に「G1オーナー」の新たな肩書が加わった。

 ◆北島 三郎(きたじま・さぶろう)本名大野穣(おおの・みのる)。1936年(昭11)10月4日、北海道生まれ。54年に上京し、長い下積みを経て62年「ブンガチャ節」でデビュー。代表曲は「まつり」のほか「与作」(78年)、「風雪ながれ旅」(80年)など。「NHK紅白歌合戦」に史上最多記録の50回出場。

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