【菊花賞】キタサンブラックがラスト1冠制す!北村宏初クラシック

[ 2015年10月26日 05:30 ]

競り合いの末、菊花賞を制したキタサンブラック(手前左)。右端は2着のリアルスティール(代表撮影)

 牡馬クラシック最終戦「第76回菊花賞」が25日に京都競馬場で行われ、5番人気キタサンブラック(牡=清水久)がラスト1冠を制した。主戦の北村宏が折り合いをつけロスのない立ち回りで完璧にエスコート。ゴール前はリアルスティールの猛追に遭ったが、首差しのいで優勝。オーナーの北島三郎氏(79)、清水久詞師(43)はともにJRA・G1初勝利。北村宏はG1・3勝目で3歳クラシックは初制覇となった。

 満員の淀のスタンドがどよめいた。「キタサン!?キタサンだあー!!」。2冠馬ドゥラメンテ不在の混戦菊花賞を制したのは、ゴール前で実績馬リアルスティールの猛追を首差しのいだキタサンブラック。オーナー、生産者、調教師、全ての関係者の夢を乗せた歓喜のゴールは“呪縛”から解き放たれた瞬間だった。

 春の皐月賞で3着、前哨戦・セントライト記念を制しながら5番人気。戦前に清水久師は「これまでで最高の出来。伸びやかなストライドも、軽い身のこなしも明らかに長距離向き。(血統的に)人気はないかもしれないが、逆に気楽な立場で臨めるので」と静かに闘志を燃やしていた。

 母の父は名スプリンターのサクラバクシンオー。セントライト記念の覇者は84年のシンボリルドルフ以来、30年間も勝っていない。そんな負の歴史を覆したのは北村宏の騎乗だった。4番枠からスタートを切ると、外のスピリッツミノル、リアファルの先行勢を見ながら好位のインで折り合いに専念。難所の最初のコーナーを基本に忠実にゆっくり下り、スタンド前を通過。向正面半ばで各馬がペースを上げても北村宏の手は動かない。遠心力で膨れやすい外回りの最終コーナーもロスなく立ち回ると、直線も最内を突く。押し切りを狙うリアファルをかわし、リアルスティールの強襲をしのぎ、競馬史に残るG1制覇を演出した。

 殊勲の鞍上は「返し馬から落ち着いていたので、きょうは折り合えるなと思った。馬を信じて慌てず、最後まで頑張ってくれた」と涼しい顔でレースを振り返った。北村宏は菊花賞3度目の挑戦で初勝利、3歳クラシック初Vとなった。

 オーナーの北島三郎、管理する清水久師も開業7年目でJRA・G1初制覇。師は鞍上とガッチリ握手を交わしてから、喜びをかみしめるように報道陣へ口を開いた。「最後(3歳牡馬クラシック)だったので悔いが残らないよう、納得のいく調整で挑んだ。馬も辛抱してくれたし、ジョッキーもなだめながらうまく乗ってくれました」

 距離の壁を打ち破ったことで今後の選択肢は広がった。「2000メートル以上の距離なら、北村君がうまく乗ってくれるでしょう。今後は有馬記念もあるし、香港も登録している。オーナーと相談してから決めたい」と次の目標を掲げた。今のキタサンブラックなら、古馬の壁も決して高くないはずだ。

 ◆キタサンブラック 父ブラックタイド 母シュガーハート(母の父サクラバクシンオー)牡3歳 栗東・清水久厩舎所属 馬主・大野商事 生産者・北海道日高町のヤナガワ牧場 戦績7戦5勝 総獲得賞金2億9208万7000円。

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