【スプリンターズS】ウキヨノカゼ 2度あることは…

[ 2015年10月1日 05:30 ]

 【G1ドキュメント=30日】ウキヨノカゼの手綱を自ら取った菊沢師が確信に満ちた表情で引き揚げてくるのを高木は見逃さなかった。「仕掛ければ(先行した馬に)あっという間に追い付く手応え。無理せず、気持ちだけ乗せたが、本当にいいですよ」と満足そうな笑顔を浮かべる。

 デリケートな牝馬。直前にテンションが上がり過ぎないように25日の1週前追い切り(Wコース6F83秒2)で仕上げており、この日は同じWコースで4F52秒1の控えめな調整。6~7馬身先行したハッピーベリンダ(4歳1000万)との差を4馬身まで詰めただけでゴールしたが、蹄の先まで覇気に満ちたストライドが絶好調を伝えた。

 二度あることは三度あるという。電撃6F戦へ矛先を変えた途端に2連勝。TVh杯(10番人気)、キーンランドC(8番人気)とも後方一気の末脚で大穴をあけた。特に前走は大外を回ってメンバー最速の瞬発力(ラスト3F33秒5)。同師は「洋芝であの上がりを出せるのは底力がある証拠。もともと前半の行きっぷりがいい馬だったが、短距離でその脚をしまいに生かせるようになった」と脚質転換の成果を語る。

 マイルから6Fに転じるきっかけをつくったのは母のアドマイヤダッシュの記憶だった。同師が騎手時代の05年、自らの手綱でダート1000メートルの札幌新馬戦を快勝。「気性が母そっくりなんだ。2歳の頃は厩舎の周りで引き運動ができなかったぐらいきつい性格。お母さんの得意だった短距離を試してみよう」

 思惑通りに6F戦連勝。クイーンC優勝後に左前の屈腱を負傷、1年9カ月の長期休養も乗り越えて挑む大一番。師は「ようやくG1までたどり着けた。どこまで通用するか、試してみたい」と言う。2度あることは…。密着した高木は3度目の大駆けを確信した。

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2015年10月1日のニュース