【ユニコーンS】ノンコノユメ後方一気で重賞初V“とんでもない馬に”

[ 2015年6月22日 05:30 ]

上がり3F最速の脚で差し切ったノンコノユメ(中央)

 強烈な末脚を繰り出した2頭が重賞初Vを飾った。「第20回ユニコーンS」は21日に東京競馬場で行われ、2番人気のルメール騎乗ノンコノユメが後方から上がり3F最速35秒5の末脚を繰り出し、豪快に追い込んだ。

【レース結果】

 G1馬の末脚を知り尽くしたルメールの顔が紅潮している。脱鞍所で栃栗毛の首筋をポンポンと叩いてねぎらうと、「イージー(楽勝)。とんでもない馬になるぞ」と満面に笑みを浮かべた。「凄過ぎる末脚だ。みんな驚いた?乗っている僕が一番ビックリした。ノンコズドリーム(ノンコノユメ)…イージーでした」。マイクに向かって覚えたての日本語と英語がごちゃ混ぜになるほど興奮しながらまくし立てた。

 4コーナー後方14番手から直線だけで13頭を並ぶ間もなくごぼう抜き。粘るノボバカラを2馬身半突き放した。デビュー7戦全て最速の上がりを繰り出しての重賞初制覇。今回のラスト3Fは35秒5、2番目に上がりの速いアルタイル(同36秒6)を1秒1も上回った。砂のドゥラメンテともいうべき切れ味だ。

 「さらに上に行っても、OK。もっともっと良くなる。素晴らしい馬だ」と続けたルメールの言葉を加藤征師が引き継ぐ。「(直線入り口の)他馬に囲まれたところでヒヤッとしたけど、毎レース、駄目だと思わせながら来てくれる。ハミをグッと取るから、馬自身が行きどころを知っているのだろう」。前走・青竜Sに続く追い込みVを振り返りながら、ビロードのような光沢を放つ栃栗毛に頼もしげな視線を送った。

 サラブレッドの0・5%にも満たない、全身が赤褐色に包まれた栃栗毛の毛色も希少なら、追い込みの利きづらいダートでこれほど切れる馬も珍しい。「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」という。デビュー前の2歳秋から調教で飛び抜けた末脚を見せてきた。新馬戦騎乗の石川に同師が与えた指示は「(前半は)ゆっくりでいいぞ」。“直線の脚だけで勝てる”の感触があった。見立て通り35秒6の末脚を繰り出し、差し切った。

 通算3勝、重賞に出走することなく引退した母馬ノンコの“夢”を早くもかなえた孝行息子。「実はノンコという名は私の愛称なんです。父(山田和正オーナー)が持ち馬にその名を付けたんです」。自宅療養中の山田オーナーの代理で表彰台に立った愛娘のどかさんは「まさか優勝できるなんて…」と頬を染めた。

 今後は交流G1ジャパンダートダービー(7月8日、大井)を視野に入れる。栃栗毛の鬼脚。“ノンコの夢”は無限に広がる。

 ◆ノンコノユメ 父トワイニング 母ノンコ(母の父アグネスタキオン)牡3歳 美浦・加藤征厩舎所属 馬主・山田和正氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績7戦4勝 総獲得賞金7353万3000円。

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