【日本ダービー】“開運馬主”高橋氏の野望 ミュゼ2頭出しで1等獲るゼ

[ 2015年5月27日 05:30 ]

昨年8月の新潟2歳Sを制したミュゼスルタンと高橋仁オーナー(中央)

 “チーム・ミュゼ”が大波乱を巻き起こす。「第82回日本ダービー」に精鋭2頭を送り出すのが馬主デビュー4年目の高橋仁オーナー(46)だ。瞬発力で勝負するミュゼスルタンと、先行力を生かすミュゼエイリアン。対照的な2頭の所有馬がダービー最大の台風の目となる。

【日本ダービー】

 ダービーは最も運の強い馬が勝つという。こんな競馬の格言通りなら、高橋仁オーナーの強い馬運に乗る手だろう。夢の舞台に立てるわずか18騎の中に「青、白星散、袖白一本輪」の“ミュゼ”の勝負服が2騎。個人オーナーとしては4年ぶりとなるダービー2頭出しを馬主デビュー4年目で実現する。「スルタンもエイリアンも順調に来ていると聞いてます。強い馬が何頭かいますが、競馬は何が起きるか分かりませんよ」。高橋オーナーは勝算を問われてニヤリと笑った。

 2頭の中でもミュゼスルタンは昨年の新潟2歳Sで同オーナーに重賞初タイトルを進呈したメモリアルホース。NHKマイルC3着からの参戦になるが、「前走は運悪く流れが向きませんでした。でも、しまいの脚は強烈です。瞬発力を生かせる流れになってくれれば」と語る。アラビア語で「皇帝(スルタン)」と名付けた愛馬は、そんな期待に応えるべく馬体に輝きを増している。大江原師は「1週前追い切り(22日)でも抑えるのに苦労したほど元気があるし、中2週でも大丈夫。前回のレースぶりを見る限り、距離が延びても折り合いはつく」と好感触。担当の片山助手も「負けん気の塊みたいな馬で強敵にも喜び勇んで向かっていく」と頼もしげな視線を向ける。

 もう1頭のミュゼエイリアンは昨年の千葉サラブレッド・セール(2歳馬せり)で、2番目の高額落札価格となる4536万円で購入。高橋オーナーは「馬っぷりがとても良くて、気合と度胸で落札しました。横山典さんが競馬を教えてくれて、先行できるようになったのが大きい」と言う。毎日杯ではしぶとい先行力を生かしてオーナーに2つ目の重賞タイトルをプレゼントした。「道悪はこなせると思うのでダービーでは雨が欲しいですよね」と続けた。天の恵みか、そんな願いをかなえるようにダービー当日の予報は曇一時雨だ。

 ダービー2勝(09年ロジユニヴァース、14年ワンアンドオンリー)を挙げた横山典の手綱に再び託しての大一番。「完成するのはまだ先だが、ここまで順調に来たと思う。皐月賞の上位馬はかなり強いが、競馬は何があるか分からない」と同騎手は語る。

 何が起こるか分からないダービー。だからこそ、運の強さが大きな武器となる。「実は、一番最初に持った馬(リアルフリー)が2歳新馬戦でいきなり故障してしまったんです。馬運があるとすれば、上がるしかないですよ」と明かす同オーナー。経営する美容サロン「ミュゼプラチナム」の新店舗は、大安などの吉日を選んでオープンするほど験を担ぐという。

 「運を味方にできるかはダービー当日までの私の行い次第(笑い)。靴は左から履くとか、万全の験担ぎをして、天命を待ちます」。

 ◆高橋 仁(たかはし・じん)1968年(昭43)、福島県二本松市生まれ。美容の「ミュゼプラチナム」などを全国展開するジンコーポレーション代表取締役社長。ミュゼスルタン、ミュゼエイリアンはJRA馬主となって3世代目の所有馬。

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