「外れ馬券は経費」最高裁が初判断、競馬脱税事件めぐり

[ 2015年3月11日 05:30 ]

 インターネットを通じて馬券を大量購入し、1億円以上の利益を得た大阪市の元会社員の男性(41)が所得税法違反(単純無申告)の罪に問われた事件の判決で、最高裁第3小法廷は10日、30億円近くにも上る外れ馬券代を「経費」と認める初判断を示した。起訴された脱税額の10分の1以下だけを脱税と認め、執行猶予付きの有罪とした一、二審判決が確定する。裁判官5人全員一致の結論。

 馬券はレースごとに現金購入するのが一般的だが、今回は被告が競馬の予想ソフトを利用して継続的に大量購入していた特異な事例。判決は娯楽の範囲で馬券を買っている一般ファンには影響しないとみられるが、公営ギャンブルの課税実務は見直しを迫られそうだ。

 この日の判決で岡部喜代子裁判長は、男性がソフトと独自の計算式に基づき、毎週土日に開催される中央競馬のほぼ全レースで大量に馬券を買っていた事実を挙げ「個々のレースに着目せず網羅的に馬券を大量購入し、利益を上げ続けており、一連の行為は経済活動といえる」と指摘。この事例での払戻金は経費をより多く算入できる「雑所得」に当たると判断し、検察の上告を棄却した。

 男性は、弁護人が電話で判決を伝えると「国税庁の古くなった通達で画一的に運用するのではなく、安心して申告や相談ができるよう柔軟に対応してほしい」と訴えたという。

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2015年3月11日のニュース