ルメール、ツイートで騎乗停止 デビュー前日調整ルームで携帯使用

[ 2015年3月2日 05:30 ]

JRA初の外国人騎手となり、会見で日本風に一礼したルメールだったが、デビューから30日間の騎乗停止処分に…

 JRA所属騎手としてデビューの日を迎えた1日、2人の外国人騎手の明暗が分かれた。阪神で“デビュー”予定だったクリストフ・ルメール(35)が、外部との接触を制限する調整ルーム内で携帯電話を使用したため、1日から30日まで30日間(開催日9日間)の騎乗停止となった。一方、ミルコ・デムーロ(36)はいきなり阪神メーンの阪急杯を制すなど、3勝を挙げる活躍を見せた。

 記念すべきデビュー前の失態が明らかになったのは、1日早朝だった。ルメールがツイートしているとの情報を午前6時までに得た裁決委員が、同7時前から阪神競馬場内で本人を事情聴取。その結果、28日に調整ルーム内において携帯電話の電源を入れておいたところ、知人からのツイートが入り、それに対して2回リツイートした事実が確認された。

 これは日本中央競馬会競馬施行規定第147条19号「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」に該当すると認められ、1日から30日まで30日間の騎乗停止という即日の厳罰処分が下った。1日に騎乗予定だった6鞍は他の騎手に乗り代わった。ルメールはJRA広報を通じ「今回は私の不注意で皆さんにご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ございませんでした」とコメント。この日はJRA職員と今後の話をした後、午前中に調整ルームを退出した。

 調整ルームは日本競馬独自のシステム。公正競馬確保のため、騎手は外部との接触を防ぐため、騎乗前日の午後9時までに競馬場とトレセンに併設されている調整ルームに入ることが義務づけられている。携帯電話などの通信機器は、各騎手が調整ルーム内のセーフティーボックスに入れることが原則となっている。JRAが通信機器を預からない理由について、第1回阪神競馬の庄村之伸裁決委員は「入退出時の受け渡しが円滑にいくかどうかという問題があり、騎手が自己管理できると思っていた」と言葉を濁した。

 JRAはこの日の最終レース終了後に会見を行い、庄村裁決委員は携帯電話を使用した理由について、ルメールが「うっかりやってしまった。ルールは理解していたし過去にしたことはない。今回は不注意で責任は100%自分にある」と謝罪していたことを明かした。

 調整ルーム内での携帯電話使用による騎乗停止は、11年5月の大江原圭、13年7月の原田敬伍に続いて3人目。庄村裁決委員は「(使用ルールについて)周知できていなかったのなら、再発防止策を至急考えなければならない。騎手クラブとも話を持たざるを得ない」と険しい表情で話した。

 ルメールのJRAデビューは4月4日以降に持ち越しとなった。関係者、そしてファンからも失われた信頼は、レースで取り戻すしかない。

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