競馬界に衝撃…後藤騎手自殺 なぜ?今週末も15鞍騎乗予定

[ 2015年2月28日 05:30 ]

ファンから贈られたゴトウマッテタゼと書かれたゼッケンを手に笑顔をみせる後藤浩輝騎手

 JRA(日本中央競馬会)の後藤浩輝騎手(40)が27日、茨城県阿見町の自宅で首をつった状態で発見され、死亡が確認された。茨城県警牛久署は自殺とみている。JRA通算1447勝(重賞53勝)を挙げ、今週末の中山競馬でも15鞍に騎乗予定(土7、日8鞍)だったトップジョッキーの突然の死。競馬界に衝撃が走った。

 阿見町消防本部によると、27日午前8時頃、後藤騎手の家族から、後藤騎手が「首をつっている」と119番通報があった。妻の麻利絵さんが自宅で発見。救急隊員が駆け付けたが、既に死亡していた。遺書の有無は不明だが、牛久署は前日の26日夜まで家族が元気な姿を確認しており、事件性はなく自殺とみている。

 後藤騎手は92年にデビューし、現役10位のJRA通算1447勝をマークしているトップジョッキー。勝利後のお立ち台に変装して現れるなど、サービス精神旺盛で、ファンからは「ゴッティー」と呼ばれて愛された。

 デビュー5年目の96年には、米国フロリダ州のカルダー競馬場を拠点に武者修行に出て、貪欲に技術向上に励んだ。99年には美浦トレセン騎手寮で、吉田豊騎手を木刀で殴打し負傷させる事件を起こし、4カ月の騎乗停止処分も受けた。しかしその後は勝ち鞍を順調に伸ばし00年には自身初の100勝超え。07年には自己最多の116勝を挙げ、全国リーディング4位。11年までにJRAでG15勝を挙げた。

 だが12年5月のNHKマイルCで落馬し、頸椎(けいつい)を骨折してから歯車が狂い始めた。以後、同年9月、14年4月と、2年間に落馬で3度の頸椎骨折を発症。休養期間は合わせて2年近くに及んだが、そのたびに苦しいリハビリに耐え、不屈の闘志で復帰を果たした。3度目の頸椎骨折から昨年11月に復帰。今年は既に11勝(27日現在)を挙げ、全国リーディング13位と好スタートを切っていた。

 先週21日、東京競馬場でまたも落馬。幸いにも頸椎捻挫と軽傷で、翌22日には京都で騎乗し2勝を挙げていた。23日から栃木県内の病院で検査とリハビリを受け、自身のフェイスブック上で「異常なし」と報告。25日に同県内のホテルで歌手・宇都ノ宮晃の歌謡ショーを観劇した模様を、26日夜に写真と共にアップしたのが最後の更新となった。

 27日午前、後藤騎手の自宅には92年のデビュー当時に所属し、師匠として後藤騎手を指導した伊藤正徳調教師らが弔問に訪れた。伊藤正師は「先々週、一緒に食事をしたばかり。何も変わったところはなかった。現実を受け止め切れていない」と言葉少な。なお葬儀は密葬で行われる。

 なぜ自ら死を選んでしまったのか?競馬界は謎と悲しみに包まれ、28日の開催を迎える。

 ◆後藤 浩輝(ごとう・ひろき)1974年(昭49)3月19日、神奈川県出身。初騎乗は92年3月1日エンシュードラゴン(6着)。同4月4日タイガーリリーで初勝利。02年安田記念(アドマイヤコジーン)でG1初制覇。JRA通算1万2949戦1447勝(重賞53勝)。1メートル57、50キロ。

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