白井師、豊と有終Vだ G1馬5頭輩出の名伯楽、28日引退

[ 2015年2月27日 05:30 ]

メイショウヤタロウを優しくなでる白井師

 今週末は月替わりをまたぐため競馬界にとって大きな節目となる。28日(土)に東西で8人の調教師が引退する。スペシャルウィーク、アグネスデジタルなど個性的名馬を育てた白井寿昭調教師(70)もその一人だ。また、翌3月1日(日)には外国人2人と新人騎手4人、そして7人の新規調教師が“旅立ち”の時を迎える。日本競馬はまた一歩、新たな時代に足を踏み入れる。

 また一人、時代を彩った名伯楽がトレセンを去る。いつもと変わらず、ラストウイークもスタンド3階の“指定席”で管理馬の調教をチェックした白井師。木曜朝、報道陣に囲まれると、手掛けた幾多の名馬の思い出話に花が咲いた。

 「一番思い出深いのはスペシャルウィークのダービーだな。あれがユタカにとってもダービー初勝利。レース後にハグしたのが懐かしいよ。ユタカとはダンスパートナーでオークスも勝った。あの時は1勝馬でG1を獲ったんだ」

 立命館大学出身で、当時は珍しかった学士調教師。血統への造詣が深く、海外のセリへも積極的に足を運んだ。また、アグネスデジタルやメイショウボーラーなど、芝ダート兼用の一流馬を手掛けたという功績も忘れてはならない。01年の天皇賞・秋ではアグネスデジタルがエントリーしたため、外国産馬の出走枠に入れなかったクロフネが除外。物議を醸した。

 「あのときはいろいろ言われたけど、使うという意志は固かった。意地も張ったよ。クロフネが武蔵野Sを勝って、デジタルも天皇賞を勝って、本当に良かったと思ったんだ」

 調教師ラストデーのあす28日は阪神に5頭、小倉に1頭の計6頭を送り込む。最後の1頭は阪神12Rのマノワール。「ユタカが乗ります、と言ってくれたんだ」とうれしそう。「休み明けだけど追い切りの動きが良かったし、面白いと思うよ」と有終Vへの手応えを口にした。

 調教師は卒業するが、来月からも形を変えて競馬に携わる。「放送関係だったりコラムの依頼だったり、いろいろな話を頂いています。“日曜日から買います”とは言えないけど、いずれは馬券も楽しみたい。競馬界を良くしていきたいという気持ちはあるし、頑張りたいですね」。その顔に寂しさはない。“まだこれから”と言わんばかりにエネルギッシュだ。

 ◇引退調教師ひと言

 ▼畠山 重則師 いい時代に調教師をやらせてもらったと感謝している。アイルトンシンボリやアンシストリー、マイヨジョンヌなど思い出の馬はたくさんいる。今後は自宅(茨城県内)でしばらくゆっくりしたい。

 ▼梅内 忍師 56年間、競馬界で無事に過ごしてこられたのは皆さんのおかげです。馬主やスタッフに恵まれたし、特にメイショウの松本オーナーには優しくしていただきました。

 ▼梅田 康雄師 思い出の馬はダイタクヘリオス。毎日乗り手を落とすんじゃないかと思うぐらいに難しい馬だったが、能力はズバ抜けていた。今後は地元の九州に戻るけど、牧場巡りもしてみたいね。

 ▼小野 幸治師 安くて人気のない種牡馬の産駒で重賞を勝てたことが自慢。一番の思い出はサッカーボーイ。函館記念のレコードは破られていないし桁違いの馬だった。

 ▼境 直行師 今はホッとしています。フレッシュボイスがダービーの直前に脚をぶつけて出走できなかったことが悔やまれます。

 ◇新調教師ひと言

 ▼池上和師 まずは成績よりも無事を。一つ一つ積み上げていきたい。

 ▼竹内師 個性を大切に、一つでも多く勝てるようにしていきたい。

 ▼中舘師 日々の積み重ねが大事。勝たせることができる調教師が目標。

 ▼池添学師 お世話になった角居、池添両厩舎のいい部分を吸収したい。

 ▼奥村豊師 多くの人に応援してもらえる馬を育てたい。

 ▼西村師 今まで助けていただいたオーナーや矢作先生の期待に応えられる成績を挙げたい。

 ▼松下師 松下厩舎で働いていることを自慢できるような厩舎にしたい。勝ちたいレースはダービー。

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