後藤騎手 シゲルスダチの死を悼む「彼は最後まで偉かった」

[ 2014年11月10日 12:58 ]

12年のNHKマイルCで落馬し、担架で運ばれる後藤騎手と、じっと立ち止まるシゲルスダチ

 後藤浩輝騎手(40)が10日、自身のフェイスブックで主戦をつとめたシゲルスダチの死を悼んだ。

 シゲルスダチ(牡・5歳)は9日、東京10Rの奥多摩Sに出走。12着に終わったが、ゴール直前に故障を発症。予後不良になったという。通算成績は34戦3勝。

 後藤はラジオで解説で東京競馬場を訪れており、「彼の走りを目で追いながら応援していましたが、ゴール前彼の脚から『バキッ』という音が聞こえそうなくらいバランスを崩しスピードダウン。僕は一瞬でただごとではない故障だということはわかりました」と説明。「痛くてもゴール後止まらず、必死に武士沢ジョッキーが手綱を引き、1コーナーを回った所でやっとスダチは止まってくれ、それからしばらくして馬運車に乗せられて行きました。僕はただそれを遠くから呆然と見つめることしか出来ませんでしたがそこからでも彼の脚がちゃんと地面に着けていないのが分かりました」とつづった。

 シゲルスダチは後藤騎乗で12年のNHKマイルCに出走したが、直線で不利を受け転倒、競走を中止した。後藤騎手は落馬(骨折の重傷)、馬場に打ちつけられた。普通の競走馬なら、起き上がった後パニックになり走り去ることが多いが、スダチはうずくまる同騎手を心配するかのように近寄り、心配そうに見守った姿が見た者の心を打った。

 後藤も「僕もそんな馬は今まで見たことがありませんでしたから本当に大好きな馬になりました」とし、その1年後の奥多摩Sで再びコンビを復活。「みんなが笑顔になり勝ち負けは関係なく幸せな気分に包まれました」と想い出をつづった。

 後藤は今年4月にも落馬、頸椎(けいつい)骨折で休養、11月22日の復帰が予定されており、10月21日には「厩舎周りの運動に、たまたま(シゲルスダチに)乗せていただきました。以前はヤンチャで人に噛みついてくるようなところもあったのですが、随分大人しくなりましたね」と笑顔で語っており、「実は今回のレースを無事に終えたら次走は僕が乗ることが決まっていました」と明かした。

 それが「最後の騎乗になってしまいましたが、そこで乗っておけたこと、そしてあの時彼が僕を見守っていてくれたように今日僕が彼を見守ってあげられたことが心の慰めです」としながらも「死んでしまったことはやっぱり悔しいし悲しくて仕方ありません。自分のせいで…とスダチに謝りたい気持ちが僕の心を締め付けます。もう一度彼と走りたかったです…」とあふれる悲しみは止まらない。

 「でも彼は最後まで偉かった。脚がブラブラになっても、『もう2度とひっくり返らないぞ、ジョッキーを落とさないぞ』と、必死に最後まで走りぬいてくれました。本当に強い馬でした。どうか皆さん、シゲルスダチを褒めてあげてください。こんな馬がいたことを覚えていてあげてください。ありがとうスダチ。安らかに…」と“戦友”を称えた。

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