【天皇賞・秋】フェノーメノ、史上2頭目盾3勝へ 適性DNAで確信

[ 2014年10月29日 05:30 ]

DNA鑑定でも中距離適性が証明されたフェノーメノ

 史上2頭目の盾3勝だ。「第150回天皇賞・秋」(11月2日、東京)に向けて、春の盾連覇を飾った“東のエース”フェノーメノが、万全の臨戦態勢を整えている。天皇賞馬の再出走が可能になった81年以降、3勝したのはテイエムオペラオー(00年春・秋、01年春)ただ1頭。陣営は3歳秋の同レース(2着)以来となる2000メートル戦にも、揺るぎない手応えをつかんで歴史的偉業に挑む。

【天皇賞・秋】

 春の天皇賞を連覇した現役最強ステイヤーが、果たして中距離界のチャンプにも輝けるか!?隊列をつくって馬場入りする戸田厩舎の集団調教。その中の1頭の馬上から、戸田師がフェノーメノに頼もしげな視線を注いでいる。「3200メートルの舞台で2勝を挙げても、私は長距離馬だとは思わない」。同師は確信に満ちた表情で口火を切った。

 「3歳秋の天皇賞では1番人気を背負って手堅いレースをして2着。最内を突いたエイシンフラッシュに(半馬身)敗れたとはいえ、強い競馬だったと思う」。東京2000メートルは3戦2勝。新馬、500万を勝ち上がった出世舞台でもある。「母の父デインヒルを含めて中距離色の濃い血統。春の天皇賞は長距離適性ではなく、底力で勝ってくれたのでしょう」と続けた。

 一昨年春の青葉賞から11戦連続でコンビを組む蛯名も「2000メートルの方が3200メートルよりも気を使う部分が減る。この距離なら折り合いを欠く心配が全くないし、レースがしやすい」と同じ見立てだ。

 そんな陣営の感触を裏付ける科学的データがある。競走馬理化学研究所が実施しているDNA鑑定。遺伝子の型から距離適性を予測する「エクイノム・スピード遺伝子検査」を今夏、受けたところ、中距離傾向を示す“C/T型”(最適距離1400~2400メートル)と判定された。戸田師は「検査を申し込んだ牧場の方は長距離型の“T/T型”(同2000メートル以上)かもしれないと予測していたようだが、私は“やっぱりね”の思いが強かった」と語った。

 DNAに表れない進化も感じ取っている。「3歳秋は前駆が勝っている感じだったが、4歳春あたりから後ろにもパワーがついてきて、今では前駆も後駆も充実している」。車に例えれば、二輪駆動から四輪駆動へ進化した充実の5歳秋。「瞬間的な切れよりも、じわじわと脚を伸ばして、ラストにもうひと踏ん張りするタイプ。長い直線が待つ東京の2000メートルこそ、本領発揮の舞台でしょう」。テイエムオペラオー以来となる盾3勝へ。偉業をかなえるのは、疑う余地のない中距離適性だ。

 ▼エクイノム・スピード遺伝子検査 競走馬が持っている「ミオスタチン」と呼ばれる筋肉量をコントロールする遺伝子の型を解析し、距離適性を判定する染色体検査。この遺伝型は3種類あり、「C/C型」は短距離傾向(最適距離1000~1600メートル)、「C/T型」は中距離傾向(同1400~2400メートル)、「T/T型」は中・長距離傾向(同2000メートル以上)。10年にエクイノム社(愛国の遺伝子会社)が開発し、昨年6月から競走馬理化学研究所(栃木県)が同社とライセンス契約を結んで検査を実施している。天皇賞・秋に出走するイスラボニータも昨年12月に検体検査を受けて、「C/T型」と判定された。

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