【スプリンターズS】ハクサンムーン6F戴冠万全「100%に近い」

[ 2014年10月2日 05:30 ]

坂路最終便で静寂の中、最終追いを行ったハクサンムーンは、シャープな走りを見せた

 12年ぶりの新潟開催となる「第48回スプリンターズS」。主役は昨年、スプリント王ロードカナロアと死闘を演じ、2着に粘ったハクサンムーンだ。春は体調が伴わず結果を残せなかったが、秋を迎えて悲願のG1戴冠へ万全の態勢が整った。

【スプリンターズS】

 充実の秋を迎えたハクサンムーンがG1初制覇へ向けて万全の態勢を整えた。最終追いは午前6時の開門から1000頭以上が駆け上がった後の10時前、いつものように坂路最終便だ。静寂な馬場の中を上がり重点。稽古のパートナーを務める田中助手が、はち切れんばかりのパワーをなだめるようにゆっくりとキャンターにおろすと、徐々にラップを上げラスト2Fから馬の行く気に任せてギアチェンジ。12秒7、12秒3のタイムを刻みシャープに駆け上がった(4F54秒0)。

 稽古を見守った西園師は「しっかりと乗り込んで出来に関しては問題ない。馬体も完成されて100%に近い状態にある。ジョッキー(戸崎)も前走で感覚をつかんでくれていると思うので、あとは任せるだけです」と満足そうに振り返った。

 昨年のこのレースは王者ロードカナロアに0秒1差の2着。前哨戦セントウルSではカナロアを首差退けて実力を示した。王者引退後はスプリント路線を引っ張る立場となったが、今年の春2戦は体調が整わず13、5着と苦杯をなめた。師は常々「(引退した)王者(ロードカナロア)の顔に泥を塗らないように」と口にする。ハクサン陣営の期するところはすなわち、スプリント王位の継承にほかならない。

 巻き返しへ向けて夏場を休養に充てたことで、減った馬体は回復(前走時プラス12キロ)した。田中助手も「動きが力強くなって春先とは状態が全然違う」と仕上がりに太鼓判を押す。秋初戦セントウルSは2番手でしっかりと折り合って先行馬総崩れの中で2着と、いつもの粘り強さが復活した。師は「返し馬も以前ほどの気の激しさを出さなかった。年齢を重ねて落ち着きも出てきた」と心身の充実を確信している。

 典型的な叩き良化型で、休み明け2戦目に着順を落としたことがない。陣営は「結果次第では香港(スプリント)挑戦も見えてくる」と国内統一の先を見据える。テンのスピードに加え自在性も兼備して円熟味を増した“新型ハクサン”。G1戴冠を果たして“新王朝”を打ち立てる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年10月2日のニュース