【凱旋門賞】日本馬VS欧州3歳牝馬タグルーダ&アヴニール

[ 2014年9月29日 05:30 ]

 【合田直弘氏占う】10倍以下のオッズに5~6頭がひしめく混戦となった中、多くのブックメーカーが前売り1番人気に推しているのが英国調教の3歳牝馬タグルーダである。

 欧州におけるこの路線の上半期の総決算G1キングジョージで古馬の牡馬勢を撃破し、3歳牝馬としては38年ぶりの優勝を成し遂げた女傑だ。前走G1ヨークシャーオークスで2着に敗れて初黒星を喫したが、当日はフケ(発情)がきていたことが敗因。24日にニューマーケットで行った追い切りの動きは抜群で、本調子にあるのであれば、日本馬にとって最大の敵になる。

 タグルーダを管理するJ・ゴスデン師が、警戒すべき相手として名前を挙げてるのが、アヴニールセルタン(牝3)とジャスタウェイ(牡5)の2頭だ。

 鋭い末脚を武器に、春の仏3歳牝馬2冠を含めてデビューから6戦無敗の成績でここまできているのがアヴニールだ。能力は高いが、一方で2100メートルまでしか経験がなく、血統もマイラー色が強いため、300メートルの距離延長を不安視する声も上がっている。

 力量抜群ながら距離に不安ありという似た見方をされているのがジャスタウェイだ。この馬が2400メートルでも2000メートルと同じ強さを発揮したら優勝の最有力候補と私も見ているが、距離をこなせるかどうかは神のみぞ知るところだ。だが、自身2度目のリーディングへ向け首位を独走中の伯楽ゴスデンが、相手馬のビデオを何度も検証した末に出した「この馬は怖い」との見解は、日本のファンにとって心強い限りである。

 前哨戦を終えた2日後の16日に、仏国の競馬日刊紙ジュールドギャロに掲載された凱旋門賞特集は「今年こそ日本馬の優勝か」という論調でまとめられており、中でも優勝候補の筆頭に挙がっていたのがゴールドシップ(牡5)だった。欧州の馬場に合うとかねて言われていた馬で、本領を発揮できればこの馬にも充分チャンスがありそうだ。

 9月に入ってパリ地区の天候は安定しており、今週前半にまとまった雨が降る模様だが、水曜日以降は好天との予報が出ている。本番も前哨戦の日と同様に、乾いて硬めの馬場になる公算が大きく、そうなると、ことさらに生きるのがハープスター(牝3)が持つ一刀両断の切れ味である。結局のところ、今年の凱旋門賞は「欧州の3歳牝馬2頭」VS「日本馬3頭」という図式で、本番を迎えることになりそうだ。(競馬評論家)

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2014年9月29日のニュース