【凱旋門賞】海外遠征の先駆者・岡部氏 ハープの“女子力”に期待

[ 2014年9月26日 05:30 ]

レースぶりにも幅が出てきたハープスター

 ゴールドシップ(牡5=須貝)、ジャスタウェイ(同)、ハープスター(牝3=松田博)の日本馬最強トリオが挑む今年の凱旋門賞。JRAの元トップジョッキー、岡部幸雄氏(65)は3頭の可能性をどう見ているのか。国外12カ国で騎乗するなど、海外遠征の先駆者としても知られる“競馬の達人”に聞いた。

 ――日本馬による凱旋門賞初制覇の期待が高まっています。

 岡部氏 2年連続でオルフェーヴルが欧州馬と互角に渡り合って2着。日本馬はいつ勝っても不思議ではないところまで来ている。

 ――競走馬の質が欧州と同じレベルまで上がってきたと考えていいのですか?

 500キロを超すサラブレッドが珍しかった20年前とは馬のサイズからして全然違う。血統のレベルも格段に上がったし、調教もタフな坂路を駆使するなど大きく進歩している。

 ――日本馬は凱旋門賞に延べ16頭が出走。経験の蓄積も大きいのでは?

 情報交換で遠征のノウハウが共有されている。例えば、現地でどう調整すればいいのか?ロンシャンの馬場にはどんな馬が合うのか?…などが挑み続ける中で分かってきた。フランスはもはや遠い国ではない。

 ――今年の3頭についてはどう見ますか?

 力量的にはどの馬にもチャンスがある。ハープスターは札幌記念で鞍上の意のままに動けた。ロンシャンで戦うには今春のようなしまい一辺倒では厳しいが、レースぶりに幅が出てきた印象だ。牝馬は牡馬に比べて環境の変化に対応しやすい面もある。3歳牝馬の負担重量(54・5キロ)は4歳以上の牡馬(59・5キロ)と5キロ差。昨年もトレヴが54・5キロで優勝した。このセックスアローワンス(性齢別重量)は大きい。

 ――ゴールドシップ、ジャスタウェイは59・5キロ克服が鍵になる?

 欧州と違って日本ではハンデ戦でもこんな重量はまず課されない。背負ったことがない分、どう影響するか…。ただ、ゴールドシップは横山典が騎乗してから随分変わってきた。馬の気持ちをくみ取ろうとする鞍上には反抗しない。賢い馬だ。初めての環境で気持ちが散漫にならず、前だけを見て走る可能性もある。ジャスタウェイを含めて日本馬3頭はタフな馬場にも対応できるはずだ。快挙を待ちたい。

 ◆岡部 幸雄(おかべ・ゆきお)1948年(昭23)10月31日、群馬県太田市生まれの65歳。騎手養成所の同期に柴田政人、福永洋一。67年3月デビュー。シンボリルドルフとのコンビでG1・7勝。海外へも積極的に遠征し、98年にはタイキシャトルで仏G1ジャック・ル・マロワ賞制覇。JRA通算2943勝、G1・37勝(共に歴代2位)。05年3月に現役引退。

続きを表示

この記事のフォト

2014年9月26日のニュース