【オークス】高橋義博師 ムエタイで鍛錬、G1もひと蹴り

[ 2014年5月23日 05:30 ]

高橋義博師

 オークスにマイネオーラムを送る高橋義博師(63)は機敏に動く人だ。愛馬の調教が終わると、スタンドから早歩きで馬の元へ。

 なぜ、ここまで若々しいのか?「馬に乗らないようになって、娘に“お父さん、少し太った。格好良くない”と言われてね」。この言葉のおかげで数年前に一念発起。茨城のフリーペーパーに掲載されたムエタイ(タイ式ボクシング)に飛び付き、JR天王台駅近くの「ウィラサクレックムエタイジム」へ。

 40代以上の「ナイスミドル」の階級で試合にも出場する熱の入れよう。片山小源太さん(73年全日本キックボクシングバンタム級4位)との対戦もあり、テレビに雄姿が映ったことも。「片山さんにはコテンパンにやられました。レフェリーもリングドクターもプロ。勝つと、ヒーローインタビューもあるんです。ジムで同年代の人はさすがにいませんけどね」。多忙の合間を縫い、週2回はジムで鍛錬している。

 高校時代にスペイン語を独学。肉牛経営者を夢見てアルゼンチンに渡ったが夢は果たせず。「食べていくためには厩務員しかなかった」と振り返る。パレルモ競馬場の労働が競馬との縁という異色の経歴。至近距離の銃殺も日常茶飯事の現地の動乱を乗り越え、今日に至った。

 「人間って、自然界の中でも特に遊びが大切な生き物。競馬は楽しみを与えてくれる。一つの文化に携われていることに喜びを感じます」。後ろ髪を伸ばしたトレードマークの“ちょんまげヘア”は健在。幾多の労苦をバイタリティーで吹き飛ばす指揮官のハートは、G1舞台も熱くする。

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2014年5月23日のニュース