杉浦宏昭師“日本人ならドラマなくっちゃ”

[ 2014年5月9日 05:30 ]

杉浦師

 53歳を迎えた杉浦宏昭師は、今でも調教にまたがっている。「最近は体がいうことをきかない。2、3年前までは、まだ騎手もできると思っていたのに」と笑わせる。それでも、実際に馬に乗ると癖や感触や適性をつかみやすいという。「まだ騎手時代の勘が残っているのかな」

 80年、19歳で名門・二本柳俊夫厩舎の門を叩いた。厩舎に住み込み皿洗い、靴磨き、朝食の支度。何でもやらされた。ブルーダーバンで制した83年京成杯など重賞6勝を挙げ、「師匠が定年を迎える前に調教師になろう」と転身を決断。5年計画で試験に挑んだが、1回目で難関突破。「土日は競馬、平日はマージャンの誘い。1日2時間しか勉強してなかったのに」。96年に開業した。

 開業7年目の02年、テレグノシスで挑んだNHKマイルCで初のG1制覇。「賞金が振り込まれた後、通帳を見てニタッとしたよ」とユニークに喜びを表現した。「馬も人も寝食共にっていう時代じゃなくなっちゃったな。ドラマも少なくなった」と乗り代わりが当たり前の時流を憂える。それでも「やっぱり日本人だからね。ドラマはなくしたくない」。“杉浦節”全開の中にも、競馬への真しな思いをのぞかせた瞬間だった。

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2014年5月9日のニュース