【桜花賞】ハープスター伝説幕開け!牝馬クラシック第1弾でまず1冠

[ 2014年4月8日 05:30 ]

桜の季節から伝説が始まる!!春のクラシックの主役はもちろんハープスターだ

 さあ、春のG1が開幕だ。今週は牝馬クラシック第1弾「第74回桜花賞」。チューリップ賞を圧倒的な破壊力で制したハープスターに注目が集まる。その落ち着き払った強じんな精神力の秘密は“乳母による子育て”にあった。祖母は同じく松田博資師(68)が管理した2冠馬ベガ。ゆかりの血統が師に桜花賞4勝目をプレゼントする。

【桜花賞】

 調教のない全休日。だが、松田博厩舎にはピンと張り詰めた空気が漂っていた。師がハープスターの馬体チェックを行うのだ。桜色の馬服をまとい、馬房を出るハープ。遠くから見守る報道陣をいちべつする。女王のオーラが凄まじい。「よし」。チェックは終わった。師の口調は滑らかだ。「変わりなく順調。変わったら困る。もう、チューリップ賞以上に良くならなくてもいいんだ。本番も普通に回ってくればいい。馬が自分で体を調整できている。何の不安もない」

 うら若き3歳牝馬なのに、この驚くべき落ち着きはどこから来ているのか。師がゆっくり語り始めた。「(全兄の)ピュアソウルは、わがままなところがあったが…。ハープは乳母に育てられたというのもあるのかもしれん」

 ハープの祖母は松田博厩舎に所属し、93年桜花賞、オークスを制した名牝ベガ。そのベガ最後の産駒にして唯一の牝駒がハープの母ヒストリックスターだ。ヒストリックは当歳時に放牧中の事故で重度の骨折を負い競走馬の道を断たれた。だが、何としてもベガの血は残したい。関係者の努力の末、何とか繁殖牝馬になれた。

 ヒストリックは09年に初子ピュアソウルを出産したが子育てが上手ではなかった。2番子でも同じ傾向が見られたため、3番子ハープの育児は乳母が担当した。乳母に育てられた名馬といえば、産後すぐに母キャンペンガールが死に、乳母の手によって98年ダービー馬へと上り詰めたスペシャルウィークが有名だ。

 牧場関係者によれば、乳母とは穏やかな親子関係を築きやすく、落ち着いた馬に成長することが多いという。ハープがまさにこのケースだ。祖母から母へ、母から娘へ。奇跡が重なってつながれた命は、こうして強じんな精神力を手に入れた。

 松田博厩舎の歴史は名牝の歴史でもある。そもそもなぜ、同厩舎の牝馬はこんなにも強いのか。「そうだな。うちの厩舎は牝馬も牡馬もなく、みんな鍛えるからな」。女性は男性より体が強いという説がある。出産があるからと聞くが、馬も同じなのだろうか。マツパク流の厳しい調教に耐え切る体力があるのは牝馬。そういうことだ。

 秋には凱旋門賞挑戦も見据える。「ブエナビスタは断念したけど行っていたら、きっと…。ハープにはその分も頑張ってもらいたいな」。桜の舞台は通過点に過ぎないのだ。

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