【京成杯】公営の星プレイアンドリアル地力証明!直線突き抜けた

[ 2014年1月20日 05:30 ]

馬群から抜け出しレースを制したプレイアンドリアル(12)

 地方からクラシックへ――。3歳G3「第54回京成杯」が19日、中山競馬場で行われた。川崎競馬所属のプレイアンドリアルが07年函館2歳S(ハートオブクィーン)以来で通算19勝目となる地方所属馬での重賞勝利を挙げた。皐月賞(4月20日、中山)、ダービー(6月1日、東京)挑戦へ大きく前進、混迷の牡馬クラシック戦線の主役候補に踊り出た。

【レース結果】

 ゴールの瞬間、柴田大はプレイアンドリアルの首筋をポンと叩くと、拳を小さく握りしめた。「本当に力があるところを見せられてよかった。きょうの内容は100点。ホッとしました」。岡田繁幸オーナー(63)も観戦した“御前レース”で、リアルの能力を引き出した鞍上は歓喜ではなく安どの笑みを浮かべていた。

 掛かって7着に敗れた朝日杯FSとは別馬だった。「返し馬から、きょうは大丈夫だと思った。力みがまるでなかった。前走はゲートを出たら“飛んで行くぞ”という感じだったが、きょうはグッと我慢して馬の後ろに入れたらフワッとハミが抜けた」。折り合いに手こずった前走とは違い、鞍上の意のままに中団を追走。直線入り口で馬群の切れ目から外に出すとエンジン全開。先に抜け出したキングズオブザサンを問題にせず、2馬身突き放した。

 朝日杯の敗戦を受け中間に施した折り合い特訓が生きた。走る、行きたがったら止める、また走るを交互に繰り返す“ストップ&ゴー”。岡田オーナーは「牧場で20日間くらい、毎日やった」と振り返る。厩舎に戻ってからも同様の調教を続け、鞍上に従うことを叩き込んだ。さらに河津師は朝日杯のイレ込みの要因を「体が重かったことによるイライラ」と分析。直前の負荷を強め、前走から10キロ絞り込んだ。「前走は(直前の調教を控えるよう)余計な指示を出して失敗した」とは岡田オーナー。陣営が一丸となり、勝つための知恵を出し合ったことで歯車がかみ合った。

 次走について岡田オーナーは「弥生賞」と明言したが、この時点では「地方馬はトライアルで権利を獲らないと皐月賞に出走できない」という認識だった。だが、現行ルールでは京成杯を勝ったことで中央馬と同様に賞金順での出走が可能。皐月賞は当確だ。これを伝え聞いた河津師は「そういうことなら、次走はもう一度オーナーと相談したい」と話した。

 柴田大は、その先を見据える。「最大目標はダービー。きょうの競馬なら楽しみが広がった」。自身の、そして地方馬初のクラシック制覇へ。「祈り」は確実に「現実」となりつつある。

 ◆プレイアンドリアル 父デュランダル 母シルクヴィーナス(母の父ティンバーカントリー)牡3歳 川崎・河津厩舎所属 馬主・岡田繁幸氏 生産者・北海道新冠町森牧場 戦績5戦3勝(中央3戦1勝) 総獲得賞金5674万7000円。

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