スポニチ・梅崎記者が馬事文化賞受賞 現役新聞記者初の快挙

[ 2014年1月8日 05:30 ]

約400年、沖縄で受け継がれてきた琉球競馬の風景

 馬の文化に顕著な功績を残した者に授与する「13年度JRA賞・馬事文化賞」の選考委員会が7日、東京都港区のJRA六本木事務所で開かれ、スポニチ本紙レース部・梅崎晴光記者(51)の受賞が決定した。受賞作は同記者が書き下ろしたノンフィクション「消えた琉球競馬 幻の名馬ヒコーキを追いかけて」(12年11月、ボーダーインク発行)。現役の新聞記者が受賞するのは87年の同賞創設以来初の快挙となった。

 馬券親父が集うウインズ浅草脇の酒場「二丁目」を舞台に穴予想を展開する“梅ちゃん”が馬文化でも大万馬券をゲットした。「消えた琉球競馬…」は琉球王朝時代から沖縄戦の直前まで約400年にわたって連綿と受け継がれてきた沖縄の競馬と、無類の実力を誇ったとされる幻の名馬ヒコーキの実像を5年間に及ぶ調査で初めて明らかにした力作。華麗な意匠を施された沖縄の在来馬が2頭のマッチレースで速さ、強さの代わりに美しさを競う。世界に類のない競走スタイルを持つ競馬の実態を膨大な史料と聞き取り調査で描き出した。名馬の蹄跡を探すため沖縄本島だけで約160場もあったとされる馬場を巡り歩く旅行記でもあり、馬を通して沖縄の命運を語る歴史書にもなっている。

 学識経験者で構成する選考委員会は「琉球文化に関心を持つ著者が“ンマハラシー”と呼ばれる琉球競馬を可能な限り克明に再現した貴重な記録」と、受賞理由を説明。琉球競馬は受賞作の発行から4カ月後の昨年3月、沖縄こどもの国(沖縄市)で70年ぶりに復活しており、その際には貴重な教本にもなった。

 ▽馬事文化賞 87年創設。JRAが当該年度において文学、評論、美術、映画、音楽、写真、公演などを通じ馬事文化の発展に特に顕著な功績のあった者に対して授与する。選考委員会は小長谷有紀国立民族学博物館教授ら識者8人で構成されている。

 ◆梅崎 晴光(うめざき・はるみつ)1962年(昭37)10月4日、東京・高円寺生まれの51歳。スポーツニッポン新聞社レース部専門委員。86年入社、88年から中央競馬担当。沖縄史研究、三線(さんしん、沖縄の三弦)が趣味で、JRA賞は琉球民謡協会・民謡コンクール優秀賞に続く受賞。

 ▼JRA藤沢和雄調教師 馬事文化賞受賞?良かったな。素晴らしい内容だもんな。私の競馬人生をまとめた本も以前、受賞まであと一歩のところまで行ったが、駄目だったんだ。梅ちゃんは馬券を仕留め損なっているようだけと、凄い賞を仕留めたね。

 ▼JRA岡部幸雄元騎手 おめでとう。身近な人が栄誉ある賞を獲れて、とてもうれしい。私もあの本を読んで、昨年、琉球競馬に出場させてもらったからね。次の開催(今年3月2日)に参加するのが楽しみだ。

 ▼沖縄こどもの国高田勝施設長・専務理事 ンマハラシー(琉球競馬)を復活する上であの本がどれだけ役立ったことか…。沖縄の競馬についてはそれまで記録がほとんどなかっただけに、功績は実に大きい。沖縄在来馬の文化に対する調査には頭が下がるばかりです。

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