【立川・ヤングGP】球界出身・小松崎 特大ホームラン決める!

[ 2013年12月29日 05:30 ]

ヤンググランプリ真剣勝負!!気合を入れる小松崎

 「ヤンググランプリ2013(G2)」(優勝賞金500万円=副賞含む)が29日、東京・立川競輪場の11Rで争われる。成績優秀なデビュー3年未満の若手選手が一発勝負で激突。未来のスター候補として輝くのは、野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplusから転身した初の競輪選手・小松崎大地(31)だ。近況の勢いと将来性は◎。新たな夢を追い続ける福島のホープが、野球で鍛えた脚力で特大ホームランをかっ飛ばす。

 プロ野球選手になるのが夢だった。小3から野球一筋の小松崎は拓大紅陵から千葉商大を経て、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレー(05~08年)した。主将を務め不動の4番を任されたパワーヒッターは、50メートルを6秒0で走る快足もアピールポイント。NPBから声が掛かり何度か入団テストを受けたが、夢はかなわなかった。

 「26歳の頃、ドラフトで指名されなかったことが僕のターニングポイント。もう野球に悔いはない」。その頃、徳島のトレーニングジムで競輪のトップレーサー・小倉竜二(77期)と出会った。「野球で鍛えた体や能力を生かせるプロスポーツがある」。一度閉ざされたプロへの夢は新たな夢へとつながった。

 「父親が新日鉄君津の助監督をしていたこともありOBの下柳剛さんを通じて、当時、一緒に自主トレをしていた岡部芳幸さん(66期)を紹介してもらった」。その縁で岡部に弟子入り。第二の人生を歩みだした。

 初めて競輪用の自転車にまたがり全力疾走すると、想像以上の苦しみでもん絶したことが忘れられない。「今まで味わったことがない、肺が焼き付くような血の味がした。野球での失敗は自分に甘えていたこと。全ての甘えを捨てる覚悟はできていた」と自転車漬けの毎日を過ごした。

 師匠と同じ福島登録で11年1月にプロデビュー。12年宇都宮→西武園→川崎と無傷の9連勝、3場所連続完全Vを達成しトップクラスのS級へ特進。今年11月、玉野でS級初優勝を3連勝で飾るなど、才能は開花した。師匠の岡部は「優勝は自分のことのようにうれしかった。28歳で競輪選手になったから、いろいろ苦労しているけど、他選手に刺激を受けながら頑張ったんだと思う」と愛弟子の活躍に目を細める。

 脚力のバロメーターでもある1000メートルのタイムは今秋1分6秒848を計測。プロ選手の中でも上位のラップを刻むまで力をつけており、31歳を迎えても伸びしろは大きい。「師匠から“中途半端な気持ちでは生きていけない世界”と教わっている。競輪選手になったからにはG1を勝ち、グランプリに出場して日本一の選手になりたい」。昨年ヤングGP3着のリベンジに燃える遅咲きの苦労人は、31歳にして出世街道をひた走る。

 ◆小松崎 大地(こまつざき・たいち)1982年(昭57)9月3日、千葉県君津市生まれの31歳。千葉商大卒。通算成績は205戦67勝、2着34回。通算取得賞金は3621万円。好きな食べものは焼き肉と寿司。12年2月にS級特進。1メートル82、90キロ。血液型B。

 ▽ヤンググランプリ デビュー3年未満の選手による一発勝負。選考期間における平均競走得点上位9人が出場する。毎年、KEIRINグランプリのシリーズ開催中に行われ、01年からG2に格付け。若手選手の出世レースとして位置付けられ、過去に優勝した海老根恵太(04年)、山崎芳仁(05年)、深谷知広(10年)はG1タイトルホルダーになった。

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