【マイルCS】淀ならトーセンラー!“マイル仕様”で悲願のG1Vだ

[ 2013年11月14日 06:00 ]

得意京都で悲願G1制覇だ!開門直後の坂路で、武豊を背に併走馬を置き去りにするトーセンラー

 “ミスター淀”襲名だ!秋の最強マイラー決定戦「第30回マイルチャンピオンシップ」(17日、京都)の追い切りが13日、栗東、美浦トレセンで行われた。現役屈指の京都巧者トーセンラー(牡5=藤原英)は、武豊(44)を背に栗東坂路で軽快な動きを披露。初めてのマイル戦に向け、調教コースと内容を変え“マイル仕様”で悲願のG1制覇に挑む。同レースは14日、出走馬が確定。枠順は15日に決まる。

【マイルCS】

 坂路にトーセンラー。見慣れない光景が、何の違和感もなく映った。武豊を背に朝一番の坂路に登場。先行したメテオライト(4歳500万)に残り200メートルで並びかけ、楽な手応えのまま前へ。ラストで軽く仕掛けられると、さらにグンと加速した。800メートル53秒7、ラスト200メートルはこの日2番目に速い12秒3と抜群の伸び。藤原英昭師(48)は「時計もいいし動きもいい」と目を細めた。

 デビュー4戦目以降の最終追い切りは全てCウッドチップコースか芝コース。だが、初めてのマイル戦に向け、この中間、坂路に切り替えた。師は「マイルに対応する道中のスピードをつけることと、ためてしまいを生かすことを考えた」と説明。この日の追い切りはしまいを伸ばしたが、2週前と1週前は400~600メートルの1Fが最も速い“変則ラップ”。マイルの流れに乗れるスピードを養ってきた。

 今秋は京都大賞典(3着)で始動。天皇賞・秋を登録のみにとどめ、マイルCSに矛先を向けた。天皇賞・秋、ジャパンCの王道G1を捨ててまで臨む理由は一つ。京都だからだ。重賞2勝を含む全3勝を京都で挙げているコース巧者。師は「若い頃、若干体力面の不安があったので、坂(の下り)を利用してスピードに乗って抜け出す形がマッチしていた。きれいな走りをする点も京都が合う理由」と分析する。

 京都は3角に大きな坂の上り下りがある一方で、4大競馬場で唯一、直線に坂がない。下りでついた勢いが鈍りにくく、それがラーの走法に合う。「馬が緩かったので長めの距離を使ってきたが、しっかりした時点で常にそういう(マイルCSを使う)選択肢はあった」。師は以前から温めてきたプランであることを明かした。

 春に2着と好走した天皇賞・春から実に距離半減。異例の挑戦だが、昨年のサダムパテックに続く連覇を狙う武豊は「初めての距離といっても、いつも通過している距離。未知の距離じゃない」とユニークな見方を示した。1200メートルしか経験していない馬がマイルに挑むのとは違うということだ。

 「やってみないと分からない」と師も鞍上も口をそろえるが、重賞31勝の勝負師とG1・99勝の天才にとって常識破りはお手のもの。秋の京都。色づき始めた紅葉より一足先に、ラーが大輪を咲かせる。

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2013年11月14日のニュース