【凱旋門賞】池江師またも涙 オルフェの3度目アタックない

[ 2013年10月7日 06:00 ]

 池江家の夢はまたも成就しなかった。2度の銀メダルに終わったオルフェーヴル。3度目の挑戦は、もうない。

 凱旋門賞。それは池江家にとって宿願だった。父・泰郎氏(元調教師=現スポニチ本紙評論家)が送り出した06年ディープインパクトは単勝1・5倍に支持されながら3位入線後失格の悪夢。英国メディアは「ディープはなぜ前哨戦を使わなかったのか」と痛烈に批判した。ベストの選択と信じて、宝塚記念から直行で送り出した。他陣営からあれこれ言われたくない。だが、結果を出せなかった以上、反論などできない。長男・泰寿師も当時、唇をかみしめるしかなかった。初めてオルフェーヴルで挑んだ昨年、「父のかたきという気持ちがある」と闘志を表に出した。

 ただ、勝つために冷静な判断を下し、徹底した準備を怠らなかった。ディープインパクトとは異なり、昨年も今年もフォワ賞をステップとして走らせた。天皇賞・春をパスし、宝塚記念(回避)前の運動誘発性肺出血も早めに摘み取って、馬に無理をさせなかった。いざアクシデントが起こってしまった時、どう対処するかまで発想が及んでいたからこそ、最小限で食い止められた。僚馬ブラーニーストーンに鼻筋を蹴られ、外傷性鼻出血を発症して、フォワ賞1週前追い切りが延期となった時も、何事もなかったように、その後の調整を続けた。昨年2着に敗れてから、凱旋門賞のことを思わなかった日は一日もない。準備に準備を重ねても…、夢はつかめなかった。

 「重い扉を日本人はなかなか開けることができない。昨年は開きかけた扉がゴール寸前で閉じたが、今年は開きかけることすらなかった。欧州の強さをまざまざと見せつけられた」。池江師は地元の意地を肌で知った。また挑戦が始まる。

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2013年10月7日のニュース